史上もっとも危険な撮影を行った海外映画は?(5)昼は気温50℃、夜は極寒…原作を再現するための超過酷ロケ

text by 阿部早苗

一歩間違えば命の危険すらあった――。映画はファンタジーだけじゃない。今回紹介するのは、極限の自然や苛酷な条件の中、CGに頼らず魂を削って完成させた洋画5選。俳優とスタッフの執念が作り上げた、リアルが光る映像体験の裏側に迫る。第5回。(文・阿部早苗)

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砂漠で野宿、気温差40度超――極地ロケが描いた異世界バトル

『モンスターハンター』(2020)

ミラ・ジョヴォヴィッチ
ミラ・ジョヴォヴィッチ【Getty Images】

監督:ポール・W・S・アンダーソン
キャスト:ミラ・ジョヴォヴィッチ、トニー・ジャー、ロン・パールマン

【作品内容】

 エリート特殊部隊を率いる軍人アルテミスは、砂漠で突如発生した巨大な砂嵐に巻き込まれ、異世界へと飛ばされてしまう。そこは近代兵器の効かない巨大モンスターが支配する世界。生き残りをかけ、アルテミスはハンターたちと力を合わせて、元の世界へ戻るため戦いに挑む。

【注目ポイント】

 カプコンの人気ゲームシリーズを原作とし、ポール・W・S・アンダーソン監督がメガホンを取り、主演のミラ・ジョヴォビッチと共に制作された映画『モンスターハンター』(2020)。ゲームの壮大な世界観を実写で再現するために、過酷な自然環境での撮影に挑んだことで知られている。

 映画の主要なロケ地は南アフリカの砂漠地帯。アンダーソン監督はゲームの世界観を忠実に再現するため、都市部から何百マイルも離れた大自然の中での撮影にこだわったという。携帯電話やインターネットが繋がらない環境で、クルー全員がテントで野宿しながら撮影に挑んでいる。

 中でも特に過酷だったというのが、極端な気候条件だ。昼間の気温は50℃に達することもあり、天候が急変すると一気に冷え込み、強風が吹き荒れることもしばしば。ミラ・ジョヴォビッチは、「昼間は50℃にもなって、でも天気が悪くなると一気にすごく寒くなって、すごい風が強くなったりする」と語り、スタジオでの撮影がどれほど困難でも「あれよりつらいことはない」と当時を振り返るほどである。

 ジョヴォビッチは、劇中でエリート部隊のリーダーであるアルテミス役を演じるにあたり、実際の軍事施設に滞在。レンジャーたちの訓練に参加し、火器の扱い方を学ぶなど徹底した役作りに取り組んだ。

 元々、原作ゲームの大ファンだったというアンダーソン監督。ゲームの世界観を見事に再現した本作は、ゲームファンにとっても見逃せない一作といえるだろう。

(文・阿部早苗)

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