漫画『善悪の屑』&『外道の歌』作者・渡邊ダイスケが愛する映画(2)。「ずっと面白い日本映画」まさに最高傑作
各界で活躍する著名人に「人生に影響を与えた映画」をセレクトしてもらい、その魅力を語ってもらうインタビュー企画。今回登場するのは、漫画家の渡邊ダイスケさん。シリーズ累計発行部数580万部以上突破中の『善悪の屑』~『外道の歌』が各界で話題沸騰中。このヴァイオレンス・ヒューマンドラマを読んだことがある人であれば、どんな人が描いているのか?と気になっているはず。そんな渡邊氏に好きな映画について存分に語っていただいた。今回は第2回。(取材、文・ZAKKY)
●「頭の中を占領されてしまった」2時間無駄なく面白い伊丹十三監督作
『マルサの女』(1987)
―――2本目に挙げられたのが、伊丹十三監督の代表作です。
「中学生の頃にゴールデン洋画劇場で観たのが最初だったのですが、冒頭からヨボヨボのおじいちゃんが女性看護師のおっぱいを、チュパチュパしているんですよ。最高ですよね(笑)?とにかく本作のぶっとんだ世界観が面白すぎて、頭の中を占領されてしまった結果、高校受験もどうでもよくなってしまった作品です(笑)」
―――また、やばい映画にハマッてしまいましたね(笑)。
「初めて自分の意志で観た、大人の映画でしたね。この作品もまた、セリフのクオリティーがとても高い。個性あふれるキャラクターを演じる俳優陣の芝居も際立っていますし、本作のように“2時間ずっと無駄なく面白い映画”なんて、そうそうお目にかかれないと思います。はっきり言って、漫画家としてデビューした後に観ていたら『こんな作品に敵うわけがない』と、きっと心が折れていたと思いますね」
―――そこまでとは!
「思春期に観て、無意識のうちに自分の作風に影響を与えてくれて、本当によかったと思える作品です」
―――作品との出会いのタイミングって大事ですよね。個人的に、渡邊さんの作品も描写の一つひとつに無駄がないと思っています。
「ありがとうございます」
―――『マルサの女』の中でも、とりわけ好きなキャラクターやシーンはありますか?
「パチンコ店の店長(伊東四朗)と、税理士さんとの絡みが好きですね、あと、山崎務さんと津川雅彦さんの名演も忘れ難い。挙げればキリがないですねえ」
―――他の伊丹十三監督作品もお好きですか。
「もちろんです。『マルタイの女』なども好きです。ただ、若くして亡くなられた時は、本当に驚きました。死因については様々な説が飛び交っていますが…。もっと伊丹監督の作品が観たかったです」
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