漫画『善悪の屑』&『外道の歌』作者・渡邊ダイスケが愛する映画(3)。恐るべき発想力…日本映画史に残るSF怪作
text by ZAKKY
各界で活躍する著名人に「人生に影響を与えた映画」をセレクトしてもらい、その魅力を語ってもらうインタビュー企画。今回登場するのは、漫画家の渡邊ダイスケさん。シリーズ累計発行部数580万部以上突破中の『善悪の屑』~『外道の歌』が各界で話題沸騰中。このヴァイオレンス・ヒューマンドラマを読んだことがある人であれば、どんな人が描いているのか?と気になっているはず。そんな渡邊氏に好きな映画について存分に語っていただいた。(取材、文・ZAKKY)
●「斬新な発想とリアルで重いテーマが結びついている」斬新なアイデアが目を引く和製SF映画
『ブルークリスマス』(1978)
―――監督・岡本喜八、脚本・倉本總による、日本映画史に残る怪作ですね。
「倉本總さんは数多くの名作を生み出していいますが、本作はかなりの異色作。地球にUFOが到来するのですが、UFO自体は一度も出てこない。ニュースの報道や政府関係者のコメントで、UFOの存在が表現されるんです。まず、そのアイディアが面白いなと」
―――主題をあえて見せない演出に心を奪われたわけですね。
「宇宙人とコンタクトをとった人間は、血が青くなるという設定なんです。自分とは異質の他者に対する恐れを、そういった形で描いていることの上手さに惹かれました。また、テーマ性も鋭くて唸ります。現実社会では、人種や思想の違いなどによって軋轢が絶えないわけですが、そうした状況をUFOや宇宙人のような存在を直接見せずに、巧妙に表現しているわけです。UFOが出て来る映画=SF映画という固定概念を崩した映画だと思います」
―――深いですね。
「UFOそれ自体を描きたいわけではなく、異質な他者の介入によって社会・人間が振り回される様を描きたいんだなと。斬新な発想とリアルで重いテーマが無理なく結びついている、素晴らしい作品だと思います」
―――印象的なシーンはありますか?
「主人公が恋仲になった女性とホテルに行って結ばれる際に、彼女の血を見てしまい、その色が青かったというシーンですね。『自分だったらどういう反応をするだろうか?』ということを考えさせられました」
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