「アナタモ、SNSデ呪ワレル。」ネット社会の危険を描いた映画(4)。救いなきラストで絶望の谷に落とされる
昨今、仮想通貨を巡る詐欺や、SNSから事件・トラブルに巻き込まれる人々が増えている。リアルな世界では見せられない欲望がむき出しになるネット上で、加害者は被害者は何を思うのか? 今回は、そんなインターネットの闇を描いた作品を5本セレクトした。明日は我が身としてぜひ役立てていただきたい。今回は第4回。(文・寺島武志)
●パソコン画面上でストーリーが進行。恐怖を煽る新感覚ホラー
『アンフレンデッド:ダークウェブ』(2018)
上映時間:93分
製作国:アメリカ
監督:スティーヴン・サスコ
脚本:スティーヴン・サスコ
キャスト:レベッカ・リッテンハウス、チェルシー・オルデン、ベティー・ガブリエル、アンドリュー・リーズ、コリン・ウッデル、ステファニー・ノーグエラス、アッシュトン・スマイリー
【作品内容】
プログラマーのマタイアス・オブライエン(コリン・ウッデル)は、ある日、ネットカフェの落とし物コーナーで中古のパソコンを入手する。中古といえども、それは高性能のラップトップパソコン。オブライエンは、FacebookのIDを確認すると、以前は「Norah(ノラ)」という人物が所有していたことがわかったものの、それらの情報を消し自らの情報を入力した上で、聴覚障害のある恋人のアマヤ(ステファニー・ノゲーラス)とSkypeで連絡を取るようになる。しばらくしてオブライエンはパソコンの不調を訴え、デイモンの手助けで調べてみると内部に謎の大容量のファイルが保存されていることに気付くのだった…。
「アナタモ、SNSデ呪ワレル。」というキャッチコピーを持つ、2015年公開のアメリカ映画『アンフレンデッド』の続編。オカルト色の強い前作と比べて、本作ではパソコンを盗んだことをきっかけに闇組織に襲われる恐怖を描く、スリラー色が強い作品となっている。
【注目ポイント】
オブライエンのパソコンに保存されていたファイルは監禁された女性を映した動画など、おぞましいデータが大量に保存されている隠しフォルダだった。しばらくして元のパソコンの持ち主「ノラ」を名乗るアカウントから、パソコンを返却しろというメッセージが届く。
パソコンを返しに行こうとするオブライエンのもとに、今度はシャロンという人物からメッセージが入る。シャロンはFacebookではなく、リバーと呼ばれるポータルサイトにオブライエンを誘導。そしてノラはシャロンと同一人物ということが発覚する。
彼らは、「サークル」という女性誘拐など反社会的な行動を繰り返すカルト集団の一味であった。そしてパソコンを返さないならアマヤを殺害すると脅迫してくる。オブライエンは急いでマアヤと連絡を取ろうとするが、アマヤのルームメイトであるケリーが、マタイアスが見守る中、シャロンに射殺されてしまう。さらに、レックス、AJ、ナリ、セレーナと死の連鎖が続く。
本作は、前作の『アンフレンデッド』同様に全編がパソコンの画面上でストーリーが展開される。「ダークウェブ」という副題から推測できるとおり、ネット上で暗躍する犯罪組織の恐ろしさを描いているという点で、きわめて現代的かつ啓蒙的な作品となっている。
軽い気持ちでパソコンを盗んだがため、仲間のみならず、自身の命をも危険にさらされる。人間関係が複雑に絡み合う様子をリアルに描きつつ、あまりにも救いのないエンディングで観る者を絶望の谷に突き落とす。ネットの闇を描いたなんとも不気味な作品だ。
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