日本映画史上最もスッキリする結末は? 痛快なラスト(3)至福のクライマックスに涙…青春映画の金字塔は?
裏切り、挫折、不条理――そんな現実に打ちのめされる日々の中で、爽快な逆転劇や、努力が実を結ぶ瞬間を描いた映画を観ると、不思議と心が軽くなる。今回は、そんな爽快なラストを迎える、スカッとする日本映画を5本セレクト。笑って泣いて、最後には胸のつかえが吹き飛ぶような快感をくれる傑作を紹介する。第2回。※映画のクライマックスについて言及があります。未見の方はご留意ください。(文・阿部早苗)
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笑って泣ける青春映画の金字塔
『ウォーターボーイズ』(2001)
監督:矢口史靖
キャスト:妻夫木聡、玉木宏、三浦哲郁
【作品内容】
唯野高校水泳部は、部員が鈴木(妻夫木聡)1人だけという廃部寸前の状態。そんな中、美人教師・佐久間(眞鍋かをり)が顧問に就任すると、その魅力に惹かれた生徒たちが一気に30人も入部する。だが、佐久間の目的が“競泳”ではなく“シンクロナイズドスイミング”だと判明すると、大半が脱退。残ったのは鈴木を含むわずか5人。最初はしぶしぶながらも、彼らは学園祭でのシンクロ公演成功を目指して奮闘を始める。
【注目ポイント】
2001年当時、シンクロナイズドスイミングといえば「女性の競技」というイメージが強かった。そんな常識を笑い飛ばすように登場したのが、男子高校生がシンクロに挑戦する姿を描いた青春コメディ『ウォーターボーイズ』だ。
主演の妻夫木聡を筆頭に、玉木宏、金子貴俊ら当時の若手俳優たちが全力で水しぶきを上げる姿は、観る者の心を一瞬で掴む。青春のバカバカしさと、必死さと、ピュアな情熱が詰まったこの作品は、まさに“笑って泣けて、最後は晴れやかな気分になれるスカッとする映画の金字塔と言えるだろう。
注目すべきは、やはりラストのシンクロ公演シーン。学園祭の晴天の下、家族やクラスメイト、町の人々が見守る中、5人は堂々と水に飛び込み、全力の演技を披露する。不器用で、滑稽で、でも真っ直ぐ。彼らの姿に思わず涙がこぼれる。その瞬間、努力は報われるのだと信じたくなる。
単なるスポ根に終わらず、男子高校生ならではの“バカらしさ”や“どうでもよさそうで本気な青春のひととき”が全編にちりばめられており、恋の空回りやくだらない笑い、熱すぎる友情などもこの作品の大きな魅力だ。
見終えたあと、「ああ、自分も何かに本気になってみたい」と思わせてくれる。そんなエネルギーに満ちた、爽快な青春エンターテインメントである。
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【了】