ラスト15分で全てがひっくり返る日本映画は? 衝撃の結末(2)地獄のような118分…意外な黒幕とは?

text by ニャンコ

映画の醍醐味は、予想外の展開が訪れるその瞬間にある。中でもラスト数分で物語が一変する作品は、観る者の思考を一気に逆回転させ、最初から再視聴したくなるような中毒性を持つ。今回は、ラスト15分で全てがひっくり返る日本映画を5本セレクト。予想外の結末に、感情が揺さぶられる極上の作品を紹介する。第2回。※映画のクライマックスについて言及があります。未見の方はご留意ください。(文・ニャンコ)

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完璧に見えた娘の“本当の顔”に言葉を失う

『渇き。』(2014)

小松菜奈
小松菜奈【Getty Images】

監督:中島哲也
キャスト:役所広司、小松菜奈、妻夫木聡

【注目ポイント】

 本作は、離婚を経て心が荒んだ元刑事・藤島昭和(役所広司)が、失踪した娘・加奈子(小松菜奈)を捜し求めるなかで、彼女を取り巻く過激で歪んだ現実と対峙していく物語である。

 藤島は娘を探し求める過程で、自身の父親としての無力さに打ちのめされ、復讐心から暴走し、しまいには加奈子を堕落させたきっかけとなった不良少年・松永(高杉真宙)を殺してしまう。

 しかし映画のラスト、松永は加奈子の操り人形の1人に過ぎなかったことが判明する。藤島は加奈子を守るつもりが、憐れな加害者になってしまったことに気づき、愕然とするのである。最終的に加奈子の所在すら曖昧なまま物語は幕を閉じる。

 優等生と思われていた加奈子は、実際には複数の男子生徒を誘惑し、盗撮・恐喝を繰り返し、死に追いやった過去を持つ冷酷な人物だった。彼女は薬物の売人、元同級生の不良少年、ホームレスの少年たちを巻き込み、殺人未遂など多くの事件の引き金を引いていたのである。

 中島哲也監督が描くのは、「正義」を振りかざす大人の破綻と「純粋」すぎる少女の狂気が交錯する地獄絵図。映像、編集、音楽のすべてが高いテンションで統一されており、観る者は圧倒されざるを得ない。

(文・ニャンコ)

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【了】

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