1980年代最高の洋画は?映画の神に愛された傑作(3)頂点から転落まで…ギャングの栄光と衰退を描いた超大作

text by 村松健太郎

1980年代、スクリーンには想像を超えた世界が広がり、劇場に足を運ぶことは冒険そのものだった。今よりも限られた技術の中で生まれた作品の数々は、ジャンルを問わず人の心を揺さぶり、“語り継がれる物語”として今なお輝きを放っている。今回は、そんな80年代の空気をまとう名作洋画の魅力を紐解いていく。第3回。(文・村松健太郎)

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』【Getty Images】

監督:セルジオ・レオーネ
脚本:セルジオ・レオーネ、レオナルド・ベンヴェヌーティ、ピエロ・デ・ベルナルディ、エンリコ・メディオーリ
出演:ロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ、エリザベス・マクガヴァン、ジョー・ペシ、ジェニファー・コネリー

【注目ポイント】

 1965年、クリント・イーストウッド主演の『荒野の用心棒』の成功によって、セルジオ・レオーネはマカロニ・ウェスタンの旗手として名を馳せた。続く『夕陽のガンマン』(1965)、『続・夕陽のガンマン』(1966)といった“ドル三部作”を立て続けに成功させたが、マカロニ・ウェスタン以外の作品への挑戦を望み、レオーネは『ウェスタン』(1968)、『夕陽のギャングたち』(1971)を発表。そして十年以上の沈黙を経て世に送り出したのが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』であり、結果的にこれが遺作となった。

 本作はカンヌ国際映画祭では高く評価されたが、アメリカでは興行的に不調に終わり、上映時間を大幅に短縮されたバージョンで公開された。一方で、日本やヨーロッパではオリジナルの長尺版が上映され、高い評価を獲得。その後アメリカでも再評価が進み、クエンティン・タランティーノをはじめ多くの映画人が本作の影響を公言するに至った。評価の過程が複雑であったことから、複数のバージョンが存在する。

 主演はロバート・デ・ニーロとジェームズ・ウッズ。物語は1920年代の禁酒法時代のニューヨークを舞台に、ユダヤ系移民のヌードルス(デ・ニーロ)と、その生涯に深く関わるマックス(ウッズ)を軸に展開する。少年期から青年期、そして老年期までを通じて、ギャングの栄光と没落を描いた壮大な叙事詩である。エンニオ・モリコーネによる音楽も、作品の情感を強く支えている。

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【了】

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