『鬼滅の刃』史上最大の謎は?完結後も語られる未回収の伏線(3)”選ばれし者”だけに現れる印の正体とは?
社会現象級の人気を誇った『鬼滅の刃』。物語は一応の完結を迎えたが、物語の鍵を握る存在や、登場人物たちに関わる設定の中には、いまだ解き明かされていない謎が数多く残されている。今回は、ファンの間で特に注目を集め続けている“未回収の伏線”を5つセレクト。完結後も色あせない『鬼滅』の謎を改めて解説する。(文・小室新一)第3回。
——————————
痣の本質とは
鬼殺隊が、強力な血鬼術と圧倒的な身体能力を誇る上弦の鬼たちに対抗するための手段の一つが、「痣」の発現である。
この「痣」は、刀鍛冶の里編において時透無一郎および甘露寺蜜璃が発現させたことで、鬼殺隊内でも広く認識されるに至った。痣を得た者は戦闘能力が飛躍的に高まり、さらに鬼から受けたダメージに対しても異常なまでの回復力を発揮する。
痣の発動条件は、体温が39度以上、心拍数が200を超えるという極限状態にあることとされている。これは意図して引き出せるような能力ではなく、生死の境を彷徨うような覚悟と代償を伴う。その代償とは、寿命の短縮である。痣を発現させた者は、例外なく25歳までに命を落とすとされている。
しかしながら、継国縁壱のように「生まれながらにして痣を持つ者」の存在が確認されている点が、この設定に大きな謎を投げかけている。縁壱はその生涯において痣を持ちながらも、25歳以上まで生存していたとされる。さらに注目すべきは、剣士ではない炭治郎の父・炭十郎も、同様に生まれつき痣を有していた点である。
このことから、痣には「後天的な発現」と「先天的な保有」という2種類の性質があると推察されるが、作中においてその違いや共通点、ひいては痣そのものの本質について、明確な説明は与えられていない。
戦力としての“痣”が重要な位置づけを担いながらも、神秘的な力の出自や法則は解明されず、それが何に由来するのか、なぜ一部の者だけがそれを生まれ持つのか——そのすべてが物語の終焉とともに“未解決の謎”として読者に委ねられたのである。
【関連記事】
・『鬼滅の刃』史上最大の謎は?完結後も語られる未回収の伏線(1)
・『鬼滅の刃』史上最大の謎は?完結後も語られる未回収の伏線(4)
・『鬼滅の刃』史上最大の謎は?完結後も語られる未回収の伏線(全紹介)
【了】