声のプロが選ぶ「本当に歌が上手い」男性アーティストは?(1)けた違いの才能…専門家絶賛の“天性の声”とは?
男性は目で恋をし、女性は耳で恋をする―。英国の作家ウッドロー・ワイアットが遺した格言だ。この言葉の真偽はさておき、“いい声”が人の魅力を高めるのは確かなようだ。「歌うま」と呼ばれるアーティストには、技術や経験を超えた“天性”の魅力がある。そこで今回は日本美声チューニング協会の三浦人美会長に「本当に歌が上手い」男性アーティストを5人、セレクトしていただいた。第1回。(取材・文:司馬宙)
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天性の勘がつくる至極のウィスパーボイス
玉置浩二
ーーーはじめにご紹介いただくのは玉置浩二さんです。玉置さんは、「歌うま」の代名詞のような方ですね。
「そうですね。玉置さんの声は、とてもニュートラルで、高音から低音まで、あらゆる帯域で鳴っているという印象です。お手本のような歌声で、しゃべりながら歌っているような印象ですね。気張っている感じもなく、トータル点が高いので選ばせていただきました」
ーーーちなみに玉置さんの歌声は、ささやくようなウィスパーボイスが最大の特徴ですが、通常の歌とどちらが難しいでしょうか。
「圧倒的にウィスパーボイスの方が難しいと思います。というのも、ウィスパーボイスの場合、声量と息の量をうまく調整しないと、そもそも観客に届かないんですよ。
特に玉置さんレベルのアーティストの場合、何万人という観客に声を届けないといけないわけですから、相当高いテクニックをお持ちだと思います」
ーーーでは、玉置さんご自身、相当鍛錬を積まれているんですね。
「いや、正直、玉置さんの場合、そこまでしっかりトレーニングはされてないんじゃないですかね。『天然モノ』というイメージがあります」
ーーーえ、そうなんですか?
「はい。奥舌(舌の後ろ)が柔らかくて発声がはっきりしていますし、ギターを弾いてもデコルテ(首筋から肩周り)が固まっていないので、発声の補助筋がうまく作用しているというイメージです」
ーーー身体の使い方が上手いということですね。
「はい。おそらく生まれつき運動神経がいい方なのではないかと思っています」
ーーーちなみに、玉置さんのようにウィスパーボイスを鍛えるには、どのようなことに気をつければいいでしょうか。
「まずは小さい声で話すことから始めてみるといいと思います。ただ、小さい声と言っても、ささやくのではなく、『鳴らす』というイメージ。普段の声のボリュームをそのまま極力小さくして、他の人に届けられるかどうか試してみるというところが、初めの一歩だと思います」
【日本美声チューニング協会三浦人美会長 プロフィール】
発声解剖学をベースにした声を出しやすい身体に整える美声チューニング®を提唱。20代はバンドのボーカルとして芸能事務所へ所属。年間300本のライブをこなし歌い続けた経験の中で発声・姿勢・呼吸等、身体のアプローチから声を変えていく手法を実践。バンド活動の終了後は、講師として稼働をスタート。人前で声を扱うことが多い企業代表や芸能事務所所属のアーティストレッスンまで延べ3,000人以上の方を指導する。
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