まさかの主演交代…代役で株を上げた俳優(4)トラブルメーカー降板でピンチ…最高の演技で危機を救った男は?

text by 野原まりこ

華々しく報じられる新作ドラマの発表。しかし、突如として出演者の降板トラブルに見舞われる作品も少なくない。だが、その裏では作品の窮地を救った影のヒーローが生まれていた。そこで今回は、代役で株を上げた俳優を5人厳選してご紹介する。第4回。(文・野原まりこ)

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不良役をもこなしてしまう類まれなるカリスマ性

斎藤工『QP』(2011)

俳優の斎藤工
斎藤工【Getty Images】

原作:髙橋ヒロシ
脚本:NAKA雅MURA
監督:三池崇史、渡辺武、菅原伸太郎、矢部享祏
出演:斎藤工、金子ノブアキ、渡部豪太、林遣都

【注目ポイント】

 実写版『クローズ』シリーズで爆発的ヒットを記録した、原作・髙橋ヒロシと監督・三池崇史が再びタッグを組んだ深夜ドラマ『QP』。骨太なストーリーと暴力的でありながら人間味あるキャラクターたちによって、放送当時話題となった。

 本作は、『QPキューピー外伝』を原案とし、闇の世界で生きる男たちの姿を描く作品。我妻涼という一匹狼の青年を主人公に、仲間との絆や抗争を描いたハードボイルドなドラマである。

 実は本作の制作段階では、主人公・我妻涼役には高岡蒼佑がキャスティングされていた。しかし、クランクイン直前に突然の降板となり、急遽代役として選ばれたのが斎藤工だった。

 一見するとヤンキー役のイメージからは遠い斎藤工。しかし、モデルとして芸能活動をスタートし、映画監督やコント番組にも挑戦するなど、独自のキャリアを築いてきた彼の“つかみどころのない雰囲気”が、逆に役柄に深みを与えた。

 監督の一人である矢部享祏は、「ビジュアル的に“実際に我妻がいる”と感じました。原作の髙橋ヒロシさんも『我妻涼という人物が生きているのを見られて良かった』と話していました」と語り、演技を絶賛している。

 これまでにない一面を見せた斎藤工の新境地。本作は彼の演技力の幅広さと、俳優としての底知れない可能性を証明する“伝説的な一作”となった。

(文・野原まりこ)

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【了】

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