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「史上最高の犯罪映画に…」ホンモノの犯罪者が登場する映画(2)。まさかの本物!? 鬼才が描く名作に出演するのは?

text by 寺島武志

今回は実際に犯罪を犯した人物がスクリーンに登場する作品をセレクト。本人が出演するとなれば、クライム映画ではなく、もはやドキュメンタリー。出所後俳優として出演した作品から、伝説の殺人事件の犯人が出演する映画まで、演技では醸し出せないリアルな悪を目の当たりにできる至極の5本を紹介する。今回は第2回。(文・寺島武志)

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鬼才・タランティーノの長編処女作
ミスター・ブルーは犯罪で生活費を稼ぐ本物の“悪党”

『レザボア・ドッグス』(1991)


出典:Amazon

原題:Reservoir Dogs
製作国:アメリカ
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
キャスト:エドワード・バンカー、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・ティアニー、クエンティン・タランティーノ

【作品内容】

ロサンゼルスの裏社会に生きるジョー(ローレンス・ティアニー)は宝石強盗を計画し、息子と共に6名の実行メンバーを招集。互いの素性を隠すために、それぞれ「色」を用いたコードネームで呼び合うメンバーたちは、犯行前にファミリーレストランで無駄話に興じる。その後、強盗に及ぶも、なぜか現場には大勢の警官が待ち伏せており、犯行は失敗に終わる。命からがら集合場所の倉庫にたどり着いた男たちは、メンバーの中に裏切り者がいると考え、互いへの不信感を募らせていき、拳銃を突き付け合うのだが…。

本作は、当時、28歳のクエンティン・タランティーノにとって初めての長編監督作品であり、自ら出演もしている。激しい暴力描写は賛否を巻き起こし、カンヌ国際映画祭では「心臓の弱い方は観賞を控えてください」との警告が発されるほど。人物描写と時間軸を巧みに操った構成、さらに主題歌であるジョージ・ベイカーの『リトル・グリーン・バッグ』に代表されるスタイリッシュな音楽が高い評価を得てカルト的な人気を博した。

【注目ポイント】

エドワードバンカーGetty Images

本作には悪人ばかりが登場するが、演じているのは、ハーヴェイ・カイテルやティム・ロスなど、職業俳優がほとんどだ。しかし、強盗チームの中には、“ホンモノの悪人”が混ざっている。

初老のベテラン強盗、ミスター・ブルーを演じたエドワード・バンカーは、俳優活動と並行して、数々の犯罪小説を上梓している。なぜなら彼は、少年時代から犯罪に手を染め、少年院や刑務所を出ては入ってを繰り返す人生を歩んできたからだ。

1973年、獄中で執筆したという作家デビュー作『ストレートタイム』は、1978年にダスティン・ホフマン主演で映画化もされている。同作の脚本を担当したのは、アクション映画の名匠マイケル・マンだ。マンは脚本を執筆するにあたり、何度も刑務所を訪れるなど交流を深め、1995年公開の監督作『ヒート』では、バンカーをモデルにしたキャラクターを登場させている。

以降も、自身の体験や裏社会を舞台にリアルに描写した犯罪小説を書き続け、中でも、『ドッグ・イート・ドッグ』は、ニコラス・ケイジやウィレム・デフォーをキャストに迎え、映画化され、2016年に公開された。

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