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莫大な金に化けた映画の小道具(4)。SFの金字塔! CG技術がない時代の高性能小道具が脅威の値段に

text by 寺島武志

誰もが知っている映画の有名シーンで使われた小道具は、オークションにかけると凄まじい金額になるようだ。アメリカのブロンド美女を象徴する有名女優が着用したドレスや、大ヒットSF映画に登場したタイムマシンなど、有名作品や俳優に関連したアイテムが勢ぞろい。今回は驚きの高価格で落札された映画の小道具を5つご紹介する。

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見た目はややグロテスク?
CG技術がない時代の高性能小道具

地球外生命体『E.T.』


出典:Amazon

落札価格:256万ドル(約3億3700万円)

製作年:1982
上映時間:115分
原題:E.T.The Extra-Terrestrial
製作国:アメリカ
監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:メリッサ・マシソン
キャスト:ヘンリー・トーマス、ディー・ウォレス、ピーター・コヨーテ、ロバート・マクノートン、ドリュー・バリモア

【作品紹介】

地球で植物の採取を行っていた異星人たちは、人間たちに追われてUFOで飛び去ってしまう。取り残された1人の異星人は、少年のエリオットと出会う。エリオットは異星人にE.T.と名付け、二人は友情を育んでいく。

スティーブン・スピルバーグ監督が手掛け、少年とE.T.が人差し指を合わせるポスターでも有名な本作は、第40回 ゴールデングローブ賞最優秀作品賞(ドラマ部門)や 第6回日本アカデミー賞最優秀外国作品賞など複数の賞を受賞している。

【注目ポイント】

映画ETよりGetty Images

地球に取り残された宇宙人と少年エリオット(ヘンリー・トーマス)との心の交流を描いた、映画界に残る名作SFファンタジー作。

既に『ジョーズ』(1975)、『スター・ウォーズ』(1977)、『未知との遭遇』(1977)、『インディ・ジョーンズ』シリーズ(1981、1984、1989)を大ヒットに導いていたスティーブン・スピルバーグは、同作で、自らが持っていた世界歴代興行収入の最高記録を更新。ハリウッド随一のヒットメーカーの座を確固たるものとした。

昨年、公開から40周年を迎え、記念イベントや記念グッズが売り出されるなど、映画『E.T.』の人気は今もって健在。2022年、米カリフォルニア州のオークション会社ジュリアンズ・オークションとターナー・クラシック・ムービーズが共催したオークション「Icons and Idols:Hollywood」に、撮影に使われた地球外生命体「E.T.」のアニマトロニクスモデル(生物を模したロボット)が出品され、256万ドル(約3億3700万円)で落札。映画の小道具としては、当時、世界最高値の値が付いた。

『未知との遭遇』でもエイリアンのデザインを手掛けたイタリア出身の視覚効果アーティスト、カルロ・ランバルディが製作を手掛け、映画公開後も所有していたが、2012年に86歳で他界。その後、娘のダニエラさんが相続し、オークションへ出品されることになった。

このロボットは、アルミ製で高さが3フィート(91.44センチメートル)、撮影時には12人がかりで操作したという。ちなみに出品されたものは、あくまで「ロボット部分」であり、顔や体部分を剥いだもので、見た目はややグロテスクなものだ。

ちなみに、E.T.のロボットは、アニメーションとエレクトロニクスを組み合わせた造語「アニマトロニクス」と呼ばれるものだ。85個のジョイントによって、目や首、そしてE.T.がエリオットに「家に電話したい」と伝えた時にピンと立てた指まで、コンピューターの遠隔操作で動く仕様となっている。

さらにこのオークションでは、別のE.T.の模型に12万5000ドル(約1700万円)、E.T.とエリオットが空を飛んだシーンに使われた自転車に11万5000ドル(約1560万円)といずれも高値で落札された。

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