映画で”死”を学ぶ…人生最後の日々を描く傑作映画(1)。「孤独とひとりは、違う」偏屈老人の最後の思索
いずれ誰しもに訪れる、老い…。今回は、高齢者やその家族の生活や思考回路に焦点を当てた、認知症・老いがテーマの映画5本をセレクト。アンソニー・ホプキンスが徐々に悪化していく認知症患者を熱演した傑作など、洋画、邦画、ドキュメンタリー作品までを幅広くご紹介する。
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死とは何か?ー一人暮らしの偏屈老人・ラッキーの最後の思索
『ラッキー』(2017)
上映時間:88分
製作国:アメリカ
監督:ジョン・キャロル・リンチ
脚本:ローガン・スパークス、ドラゴ・スモンジャ
キャスト:ハリー・ディーン・スタントン、デヴィッド・リンチ、ロン・リヴィングストン、エド・ベグリー・Jr、トム・スケリット、ベス・グラント、ジェームズ・ダーレン、バリー・シャバカ・ヘンリー、イボンヌ・ハフ、ヒューゴ・アームストロング
【作品内容】
一匹狼の偏屈老人・ラッキーは、御年90歳。一人暮らしのアパートで目を覚ますと、コーヒーを飲んでタバコを吸い、なじみのバーで常連客たちとカクテル片手に与太話をするという毎日を過ごしていた。
そんなある日、彼は突然倒れたことをきっかけに、人生の終えんが近いことを悟る。神など信じてこなかった彼が、はじめて自らの死に思いを巡らせはじめる。
【注目ポイント】
本作は、俳優ジョン・キャロル・リンチの初監督作品。主演は『パリ、テキサス』や『ツイン・ピークス』で知られるハリー・ディーン・スタントンで、脇役には監督のデヴィッド・リンチら盟友たちが名を連ねている。
スタントンをはじめとする長年の友人たちに宛てて書かれたといわれる本作の脚本は、哲学的な示唆に富んでおり、彼らの素のやり取りを思わせる。例えば、彼の次のセリフのように。
「孤独(lonely)とひとり(alone)は、違う」
「人はみな生まれる時も、死ぬ時も一人だ。“ひとり(alone)”の語源は“みんなひとり(all one)”なんだ」
ーさて、スタントンは、本作の公開後、2017年に91歳の生涯を閉じた。彼は映画の最後に何を見出したのか?ぜひその目で確かめてほしい。
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