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「ポスト北野武」は誰だ!? 芸能人が監督した最高の日本映画(4)。誰もが沖縄に恋する…郷土愛溢れる会心作

text by 編集部

自身の容姿、トーク、演技力を駆使してスターダムに駆け上がらんとする芸能人はすべからくハングリーだ。今回は芸能人が監督した映画の中でも、観るべきポイントを豊富に含んだ良作を厳選。映画監督として成功を収めるためには人気のみならず人間性や知性が問われる。すでに巨匠としての地位を確立している北野武以外の5つの才能をご紹介する。

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名匠・青山真治組のスタッフがずらり
ガレッジセール・ゴリの郷土愛溢れる会心の一作

ゴリ『南の島のフリムン』(2009年)


出典:Amazon

監督:ゴリ
脚本:杉山嘉一、ゴリ
出演:ゴリ、照屋政雄、諸見里大介、ボビー・オロゴン、AKINA、平良とみ、川田広樹、レイラ、吉田妙子、夏川りみ、ISSA、KEN

【作品内容】

沖縄の養豚場に勤める栄昇(ゴリ)は、仲間と自由気ままに楽しく暮らしていた。ある日、ポールバーの新人アメリカ人ダンサーに一目惚れしてしまう。同じく彼女に一目惚れした米軍兵のマックス(ボビー・オロゴン)と彼女を奪い合い、決闘する。

【注目ポイント】

監督のガレッジセール・ゴリが扮するキャラクター「ゴリエ」
監督のガレッジセールゴリが扮するキャラクターゴリエGetty Images

“フリムン”とは沖縄の方言で、“おバカ”という意味である。沖縄出身の芸人、ガレッジセール・ゴリが監督・脚本と主演を務め、タイトル通り、沖縄の楽しげな空気を詰め込んだ作品になっている。

全体的にギャグや沖縄の方言が満載で、のんびりした雰囲気が楽しい。登場人物のキャラが立っているため見ていて飽きず、なおかつ、わかりやすい物語になっているため、何も考えずに楽しめるのが良いところだ。

随所で下ネタも挟まれるが、沖縄の景色と少々下品だけども楽しそうに食事をするシーンなどは、沖縄の人のおおらかさを感じ、大いに癒される。映画からは「のんびり生きることも時には大切である」というメッセージと共に、ゴリの大らかな人柄が十分に感じられる。都会で忙しく働く人やピリピリした生活をおくる人の肩の力を抜いてくれること請け合いだろう。

一定の世代の人にとっては、ゴリといえば、バラエティー番組でみせた“ゴリエ”のイメージが強いかもしれない。彼はキャラクターになりきることに長けているのだ。本作でゴリは主演もつとめ、彼らしさを存分に発揮したお芝居で、観客を映画の世界に無理なく引き込んでくれる。

また、脇を固める出演者も沖縄出身であり、かつて満島ひかりも所属していたグループ、Folder5のメンバー、AKINAがヒロインを務めている。他にも“さしすせそ”が“しゃししゅせしょ”になってしまうほど滑舌が悪い芸人として有名な諸見里大介、歌手の夏川りみも出演している。

深く考えさせられ、心に残り続ける作品とはいえないが、“来る者拒まず、去る者は追わず”というような、誰でもめんそーれ(いらっしゃい)な雰囲気と、鑑賞後は自分もウチナーンチュ(沖縄の人)になったかのような気持ちになる。傑作というよりかは”良作”と呼ぶにふさわしい一作だ。

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