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「そんなわけあるか!」ツッコミどころ満載のSF日本映画(3)炎上爆弾だらけ…質も低く混乱しか生まない駄作

text by 寺島武志

洋画に比べるとまだまだ充実度が低い印象のある日本のSF映画だが、努力のあとが見られる作品はある。しかし、あまりにもスケールが大きすぎたり設定が甘いと、観る側を困惑させてしまうのがSFの難しい点だ。今回は、そんな国内のSF映画のなかから、特にツッコミどころの多い作品を5本セレクトした。(文・寺島武志)

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現代に蘇った「人斬り以蔵」による大量殺戮映画
現在公開されれば“炎上”必至の問題作

『IZO』(2004)


出典:Amazon

上映時間:128分
監督:三池崇史
脚本:武知鎮典
キャスト:中山一也、桃井かおり、松田龍平、美木良介、高野八誠、原田龍二、北野武、岡田眞澄、片岡鶴太郎、ボブ・サップ

【作品内容】

「天誅」とばかりに多くの幕府要人を暗殺したテロリストの岡田以蔵は28歳にして磔にされ処刑された。しかし、以蔵の怨念は消えることがなかった…。彼の魂は時空間を超越し、都会の片隅で生きるホームレスに宿る。すると、ホームレスの肉体は変貌を遂げ、究極の殺人マシン「IZO」へと生まれ変わり、大殺戮を始めるのだった。

【注目ポイント】

監督のビートたけし【Getty Images】
キャストの一人に名を連ねる北野武第74回ベネチア国際映画祭よりGetty Images

ヤクザ映画やバイオレンス作品を数多く手掛ける三池崇史がメガホンを取り、幕末に「人斬り以蔵」と呼ばれ恐れられた岡田以蔵(中山一也)が、時空を飛び越え現代に甦り、人を斬り続けるという作品だ。

とにかく脈絡もなく人が斬られまくる、異次元の大量殺戮映画だ。これだけ大量に人が死にまくると、感覚が麻痺してくる。128分ぶっ通しでIZOの一本調子の殺戮劇をひたすら見せつけられるのだ。しまいには、「幕末の四大人斬り」の一人として名を馳せた、孤高のテロリスト・岡田以蔵の感覚を疑似体験しているような気分に陥る。

主演の中山一也は暴力事件で起訴された過去があり、そのイメージから主演に抜擢されたのだろうか。予防注射の跡が肩口に残るなど、編集の甘さも際立つ作品だ。また、錚々たるキャストを揃えたヴェネチア国際映画祭の正式招待作品でありながら、解像度の低いCGを用いた映像のクオリティはきわめて低く、殺陣も迫力を欠く。

ストーリーテラーとして、フォークソンガーの友川かずきが劇中で歌い語るという設定はユニークだが、鑑賞者を混乱させることにしか貢献していない。

さらに、IZOの魂が宿ったのが都会のホームレスであり、その人物が殺人行為を繰り返すという設定は、ホームレスの人権をあまりにも軽視しており、差別に繋がるであろうことは想像に難くない。仮に現在の日本で公開されれば、“炎上”必至だろう。

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