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史上最高のディストピア系SF日本映画は? 最悪の未来を描く問題作(4)。考えさせられる…多様性を問う秀作

text by 編集部

ChatGPTをはじめ、近年目覚ましい進化を遂げているAI(人工知能)。2023年3月には、イーロン・マスクらがAI開発の停止を要請し話題になった。かつてSF映画で見たようなディストピアは、もしかしたら近くまで来ているのかもしれない。今回は、現代社会に警鐘を鳴らすディストピア作品5作を紹介する。

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モデルは戦時中の日本社会
多様な価値観の大切さを説くディストピアSF

『鈴木さん』(2022)


出典:Amazon

監督 : 佐々木想
キャスト : いとうあさこ、佃典彦、大方斐紗子、保永奈緒、宍戸開

【作品内容】

現人神「カミサマ」を国家元首にいただく某島国のとある町では、市民投票により45歳以上の未婚者の市民権を剝奪する条例が制定された。彼らに残された選択肢は、町を出るか、軍に入隊して国に奉仕するかのいずれかしかない。そんな中、45歳を目前に控える未婚のよしこの前に、身元不明の中年男性が現れる。よしこはその男と結婚することを考えるが-。

【注目ポイント】

お笑い芸人のいとうあさこ
よしこ役のいとうあさこGetty Images

本作は、結婚や出産が義務化した世界を描いたディストピア映画。監督は、『隕石とインポテンツ』(2013年)がカンヌ国際映画祭短編コンペティションにノミネートされるなど、海外で高い評価を得ている佐々木想。主演のよしこをお笑い芸人のいとうあさこが演じている。

「現人神」という言葉からもわかるように、本作が風刺するのは、天皇を頂点とした太平洋戦争下の日本だ。しかし、「皆と同じであること」や「国に奉仕すること」といった本作の価値観は、現代の日本にも“同調圧力”という形で引き継がれているのは間違いないだろう。同調圧力の中、「カミサマ」を信奉し、つつましく日々の生活を営む国民は、どこか現実の日本人と重なり、愛らしく感じられる。

なお、本作のように、独身のまま年を重ねる人を「どうしようもない人」という風潮は、現実の日本でも根強く残っている。多様な価値観のもと、各々の生き方を各々が決めることが大切だと改めて感じさせる作品だ。

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