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大爆死の邦画は? 2023年上半期の大コケ日本映画(4)。人気漫画でミスキャスト…改変に原作ファンも酷評

text by 寺島武志

2023年も残すところあと半年を切った。今年に入って何本の映画を観ただろうか? 日本映画は是枝裕和監督の『怪物』や北野武監督『首』などがカンヌ国際映画祭で招待されたりと話題作が目白押しであった一方、期待に反して目覚ましい興行成績を残せなかった作品も。今回は、2023年上半期でイマイチな数字に終わった映画を5本セレクトした。(文・寺島武志)

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広瀬すず新境地開くも
改変されたラストにブーイングの声も

『水は海に向かって流れる』(6月9日公開)

女優の広瀬すず
女優の広瀬すずGetty Images

上映時間:123 分
監督:前田哲
原作:田島列島
脚本:大島里美
キャスト:広瀬すず、大西利空、高良健吾、戸塚純貴、當真あみ、勝村政信、北村有起哉、坂井真紀、生瀬勝久

【作品内容】

主演は映画主演7作目となる広瀬すず。撮影・公開当時24歳だった彼女だが本作で演じる榊千紗は、従来の彼女のイメージとは異なり、やや気難しい大人の女性だ。

高校入学を機に叔父が住むシェアハウスに住むことになった熊沢直達(大西利空)を案内する千紗。変わり者だらけのシェアハウスでの共同生活の中で、10年前、直達の父が千紗の母とダブル不倫の末、駆け落ちしていたことを知り、千紗の気持ちに寄り添いたいと思うようになる。

一方で、千紗は、母親の不倫を許せず、恋愛を拒否して生きることを決意しており…。互いに親の不倫に憤りながらも次第に交流を深めていくヒューマンドラマだ。

【注目ポイント】

女性漫画家・田島列島による人気作品を、監督に前田哲を迎えて映画化した本作。田島は、この作品で「手塚治虫文化賞新生賞」を受賞している。

子供の視点で親の不倫を描いているストーリーは新鮮だ。最近、有名女優のダブル不倫がマスコミを賑わしているが、不倫は単に当事者間同士の問題ではなく、家族、とりわけ子どもの心に深い傷を与る深刻な問題でもある。

人を好きになる気持ちは責められないものの、子供の立場から考えるとどんな事情があっても不倫は“悪”でしかないことが、本作を観るとよくわかる。

広瀬すずは、心にトラウマを抱える女性を好演。新境地を切り開いたという声が聞かれる一方、ミスキャストといった意見もあり、原作から改変されたラストシーンについて、一部の原作ファンからはブーイングも。

結果、上映館数267館と決して小さくない規模で公開されたにもかかわらず、興行収入は伸び悩み、3億円を超えるかどうかも怪しいライン。上質な作品であるだけに、配信がスタートした暁には一人でも多くの観客に恵まれることを祈るばかりだ。

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