背筋が凍る恐ろしさ…東野圭吾原作のおすすめ映画(2)名監督に名優が集結! 衝撃殺人の真相は…推理物の傑作
日本を代表するミステリー作家・東野圭吾原作のおすすめ映画をご紹介。90年代に製作された初期代表作から、作家の本領が発揮された本格サスペンス、SF要素の強い異色のラブストーリーまで、幅広くラインナップ。謎が謎を呼ぶ展開に翻弄され、感動のラストに涙する。エンターテインメントの魅力がたっぷりつまった作品群をご堪能あれ。
●お受験合宿の最中に起きた殺人事件の真相に背筋が凍る…。
『レイクサイド マーダーケース』(2004)
監督:青山真治
脚本:青山真治
キャスト:役所広司、薬師丸ひろ子、豊川悦司、柄本明、鶴見慎吾、国生さゆり
【作品内容】
アートディレクターの並木俊介(役所広司)は、愛人であるカメラマン・英里子との逢瀬もそこそこに、中学受験の勉強合宿に参加するため、湖畔の別荘へと車を走らせる。別居中の妻・美菜子(薬師丸ひろ子)のたっての願いで、彼女の連れ子である舞華の受験のために、親としての義務を果たそうとしているのだ。別荘には美菜子と舞華に加え、藤間、関谷の2組の親子とカリスマ塾講師・津久見(豊川悦司)がいる。そんな中、別荘に英里子が訪れ、並木を困らせる。その後、まさかの事態が生じる。英里子が死体で発見されたのだ。本来ならば警察に通報するのが筋だが、子供の受験のことで頭がいっぱいの親たちは、死体を湖に沈め、殺人自体をなかったことにしようとするのだったが…。
原作は東野圭吾の長編小説「レイクサイド」。メガホンをとったのは、『EUREKA/ユリイカ』(2001)、『月の砂漠』(2003)の青山真治。主演の役所広司をはじめ、名実ともに日本を代表する名優たちが共演した、見応え抜群の本格ミステリー映画である。
【注目ポイント】
中学受験の勉強合宿を舞台に、思惑を異にする登場人物たちの運命が複雑に交差していく。豊川悦司演じる謎めいた塾講師を並木の愛人・英里子が脅そうとするなど、意外なキャラクターが予想外の関係を切り結びはじめ、先の読めない展開にハラハラする。
役所広司演じる主人公は、女にだらしなく、いくつもの欠点を抱えた中年男。一方、血の繋がらない娘のことを心の底から愛しており、勉強よりも人間性を重んじる、人間臭いキャラクターでもあり、受験戦争を勝ち抜くために、子供の気持ちを顧みない他の大人たちとは対照的な存在だ。
殺人事件の犯人をめぐる推理の面白さもさることながら、崩壊した夫婦、親と子、保護者たちの横のつながり、塾の講師と保護者たちとの微妙な距離感など、複数の人間関係がダイナミックに移り変わり、さまざまな問題を浮き彫りにしていくストーリーは、何度も見返したくなるほど、緻密かつ濃密である。
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