絶対的な人気を誇るジャニーズ。歌やダンスだけに止まらず、芝居もこなしてしまう彼らの魅力は女性ファンのみならず、男性の憧れでもある。しかし大人気の彼らを主演においた映画やドラマはヒットするのかといえば、そんなことはないのが現状だ…。今回は彼らの人気だけでは成立しなかった、興行収入の低かった作品を5本セレクトして紹介する。

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アニメファン激怒の改変
天才・中島健人、キャリア唯一の汚点

『心が叫びたがってるんだ。』（2017）

出典：Amazon

上映時間：119分
製作国：日本
監督：熊澤尚人
原作：超平和バスターズ
脚本：まなべゆきこ
配給：アニプレックス
キャスト：中島健人（Sexy Zone）、芳根京子、石井杏奈、寛一郎、大塚寧々、荒川良々、西山潤、福山康平、川村亮介、金澤美穂、萩原みのり、小平大智、桜井美南、近藤里沙、吉田志織、河野宏紀、水瀬いのり

【作品内容】

高校3年生の坂上拓実（中島健人）と、人と話すことができない成瀬順（芳根京子）は「地域ふれあい交流会」の実⾏委員に任命されてしまう。そこに野球部の元エースの田崎大樹（寛一郎）と、優等生の仁藤菜月（石井杏奈）も加わることに。

交流会の出し物にミュージカルを上演することになるが、周囲は話すことができない順がいることで反発する。しかし歌うことならできることに気づいた順は、ミュージカルの主役に立候補し、心を解放させていく。

【注目ポイント】

長井龍雪（アニメ監督）、岡田麿里（脚本）、田中将賀（アニメーター）の3人によるアニメ制作ユニット「超平和バスターズ」によるオリジナル脚本で2015年に公開された同名の長編アニメ映画を、主演にSexy Zoneの中島健人を迎え実写映画化した本作。

幼い頃、自らの言動により両親が離婚してしまうというトラウマと、喋るとお腹が痛くなるという呪いをかけられた少女・成瀬順（芳根京子）と、同じく両親の離婚を経験し、心に傷を持つ少年・坂上拓実（中島健人）は、高校の同じクラスで「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。

実行委員のメンバーには、野球部の元エースの田崎大樹（寛一郎）、優等生の仁藤菜月（石井杏奈）が加わる。「地域ふれあい交流会」の出し物として、クラス会が開かれ、担任の提案により、ミュージカルに決定。

周囲は「順は話すことすらできないのに、ミュージカルなど無理だ」と反発するが、歌うだけなら腹痛を起こすことがないことに気付いた順は、その決定を受け入れ、歌うことを通じて、徐々に心を解放させていく姿を描いている。

アニメ映画版は、「ここさけ」と略称され、11億円を超えるヒット作となり、アジア各国を中心に世界にも配給された。満を持して製作された実写版は、物語の大前提であるヒロイン・順が言葉を失った理由に改変が加えられている。

アニメ版は「“玉子の妖精”に魔法をかけられた」ことで彼女は声を失うが、実写版では「地域で語り継がれているお寺の供物に関する伝承」とされるなどの改変がなされ、アニメ版のファンからはオリジナルへの敬意を欠いた、「単なるアイドル映画」と酷評されるハメに。

あまりにも散々な数字だったからかどうかは不明だが、全国の286館で大々的にロードショーされたにも関わらず、公開1週目の興行成績（動員ランキング9位、動員5万1977人、興収6628万円）しか発表されなかった。

主にアニメ作品を配給していたアニプレックスが、実写映画のビジネスに本格的に乗り出したタイミングだったが、本作と、その翌年に公開された映画『プリンシパル～恋する私はヒロインですか？～』、映画『鋼の錬金術師』シリーズと“爆死”が相次ぎ、アニメ作品の実写化の難しさを改めて知らしめる結果となった。

俳優としての中島健人は、「1日3本観ることもある」と言うほどの映画マニアで、映画情報番組のMCを務めるほどだ。その後も映画、テレビドラマでも活躍を続けている。ただ、2017年当時、中島のキャリアはまだまだ発展途上にあり、流石に“主演”の荷が重かったであろうことは否めない。

しかし、明治学院大学卒業で、その英語力を生かし海外の映画監督にも直撃インタビューを敢行するなど、多才なタレントであることは間違いない。優れた作品との巡り合わせ次第で、一気に一流俳優の仲間入りを果たすポテンシャルを秘めているといえるだろう。

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