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「天才すぎる…」池松壮亮のスゴい演技が堪能できる映画(2)。段違いの存在感…スポ根ものを名作に変える芝居

text by 編集部

日本の映画界にいなくてはならない俳優の1人、池松壮亮。アンニュイな雰囲気と、捨てられた子犬のようなほっとけなさを感じさせ、過激な濡れ場や、影のある役を演じる上で右に出るものはいない。そして圧倒的な演技力で、観客のみならず、数々の映画監督をも虜にしてきた。今回は、そんな池松壮亮が出演した映画を5本セレクトして紹介する。

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ダイビングに人生をかけた高校生の鍛え上げられた肉体美

『DIVE!!』(2008)


出典:Amazon

原作:森絵都
監督:熊澤尚人
脚本:戸田山雅司、林民夫
出演:林遣都、池松壮亮、溝端淳平、瀬戸朝香、光石研

【作品内容】

坂井知季(林遣都)が通うミズキダイビングクラブは、赤字経営により存続の危機にあった。そんな現状を立て直すために配属された新コーチの麻木夏陽子(瀬戸朝香)は、次のオリンピック日本代表選手を、ミズキダイビングクラブから出すことを目標に掲げた。

知季は、エリート選手の要一(池松壮亮)や仲間たちと練習に明け暮れる日々が始まった…。

【注目ポイント】

池松壮亮
池松壮亮Getty Images

原作は『カラフル』『風に舞いあがるビニールシート』などの名作で知られる、作家・森絵都の同名小説。水泳の飛込み競技に青春をかける少年たちを描いた、スポ根モノである。

主人公・知季は、一瞬の出来事を捉えることができる“ダイヤモンドの瞳”を持つ天才。その才能を見抜いたコーチが、彼と全力で向き合い、オリンピック選手に育て上げるという物語だ。

ありがちな展開ではあるが、どうか侮らないでほしい。役者がそれぞれのキャラクターとして輝き、真剣に競技に取り組む姿に嘘はなく、見ているこちらにまで汗のしぶきが飛んできそうな描写に、心を打たれる。

まず目を見張るのが、鍛え上げられた役者の体である。

シックスパックに割れた腹筋、無駄のない体は、真剣にダイビングに取り組む高校生そのもの。体作りは撮影前の3ヶ月から行われたそう。役づくりに向けるたゆまぬ努力が伺えるエピソードだ。

そして何と言っても、10メートルほどある飛び込み台からのダイブシーンは、ほぼスタントなしで行われたというから驚きだ。

本作での池松は、エリート選手の富士谷要一を演じる。林遣都が演じる主人公・知季のライバル的な位置付けにあり、惜しげも無くその存在感を発揮している。

元飛び込みのオリンピック選手であり、現ミズキダイビングクラブのコーチを父に持つ要一は、いわゆるサラブレッドで、わいわいと楽しそうにつるむ部員から孤立し、勝つことだけを視野に入れた孤独な天才である。

家庭でも父に敬語を使い、全ての重圧を背負わされた影のある役だが、ラフな芝居の中に、要一ならではの苦悩や葛藤が見て取れる。

はたから見れば欠点などないような要一の、繊細な心の動きを表現する池松の芝居は、若手有望株が揃う周囲の共演者の中でも頭一つ飛び抜けている。

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