史上最高のアニメ実写化は? 大成功の日本映画(3)高校野球漫画の金字塔! 少年を虜にする名作を忠実に再現
多くの少年少女を沸かせた懐かしの昭和アニメ。スポーツ少年や魔法少女などの主人公と自分を重ねた人も少なくないだろう。今回はブラウン管から飛び出して、実写映画化した作品を5本セレクト。失敗が宿命づけられていると言っても過言ではない、アニメの実写化をあの手この手で成功に導いた労作ばかりを揃えた。(文・高梨猛)
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根強い人気を誇る野球漫画
原作を忠実に再現した雰囲気やキャストが魅力
『キャプテン』(2007年)
原作:ちばあきお
監督:室賀厚
脚本:室賀厚
出演:布施紀行、小川拓哉、中西健、岩田さゆり、小林麻央、菅田俊、河野朝哉、永井浩介、宮崎美子、筧利夫
【作品内容】
素朴な中学生の谷口タカオは、野球の名門校・青葉学院から墨谷第二中学に転校した。墨谷第二中学野球部は弱小チームで、名門野球チームにいたタカオをキャプテンに任命する。
しかしタカオは元いた野球部で球拾い要員であり、期待されていた結果を出すことはできなかった。周囲をがっかりさせてしまったタカオは、秘密の特訓を開始し、地区予選で逆転ホームランを打つ。
【注目ポイント】
ちばあきおによる、野球マンガの不朽の名作。1980年にはテレビアニメ化もされ、それをまとめた劇場版も公開された。
実写映画版は2007年に公開。墨谷第二中学に転校してきた谷口タカオは野球部に入部するために、元々いた野球の名門・青葉学院のユニフォームに着替えると、名選手と勘違いされ、キャプテンに抜擢されてしまう。
気が弱い谷口は、実際は補欠だったことが言い出せず、地道な努力で選手として成長する道を選ぶ…。
昭和の野球少年たちが、単行本がボロボロになるまで読み込んだという名作マンガ。絵柄も展開も地味だが、その丁寧な野球描写と登場人物たちのリアルなキャラ造形は白眉で、アニメ化作品も根強い人気がある(主題歌も人気でカラオケで熱唱するオジサンも多い)。
そんな実直な作品が、平成に入ってまさかの実写化。原作の序盤部分を丁寧に映像化しており、低予算な雰囲気が漂いつつも、それが『キャプテン』らしさを感じさせる構図となっている。
出演者は無名ながらも、原作キャラクターの雰囲気に寄せてあり、ファンならその是非も含めて楽しめる。監督は過激なアクション派という印象の室賀厚が担当し、職人らしさを発揮。
恋愛も派手なプレイもないが、スポーツものの王道を行く展開で手に汗握らせる。
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