「イタすぎる女たち…」”こじらせ女子”の恋愛日本映画(5)なぜそうなる!?ヤキモキが爆発する切ない片思い
恋愛映画には、運命の出会いやドロドロの三角関係などを描いた様々な作品がある。映画でしか味わえない展開も捨てがたいが、実際に自分が経験したことがありそうなリアルな内容は共感を生む。今回はリアルすぎて共感性羞恥を味わえる作品を5本紹介。比較的女性目線が多い恋愛映画だが、今回紹介する作品の中には、男性目線の作品もあり必見!
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男性目線の煮え切らない片思い
健気な主人公に女性たちも切なくなる
『僕の好きな女の子』(2020)
原作:又吉直樹
監督:玉田真也
脚本:玉田真也
出演:渡辺大知、奈緒、山科圭太、野田慈伸、前原瑞樹、萩原みのり、後藤淳平、福徳秀介、たくませいこ、児玉智洋、秋乃ゆに、濱津隆之、東龍之介、柳英里紗、長井短、朝倉あき、徳永えり、山本浩司、仲野太賀
【作品内容】
加藤(渡辺大知)と美帆(奈緒)は、会えばたわいもない出来事に一緒になって笑う友人同士。本心が分からない美帆に振り回されながらも、ひそかに彼女に思いを寄せていた加藤は、想いを伝えることで今の関係が壊れるぐらいなら、このまま黙っていようと心に決める。
又吉直樹の同名恋愛エッセイを、劇作家・玉田真也が脚本・監督を担当し、「黒猫チェルシー」のボーカルで俳優としても活動している、『勝手にふるえてろ』にも出演した渡辺大知と『劇場版 あなたの番です』の奈緒、『ある男』の仲野太賀が共演。
【注目ポイント】
これまで紹介してきた作品と違い、本作は男性目線で物語が展開されている。2人の想いはずっと平行線で、観る人によっては退屈するかもしれない。しかし、観る人によっては心に突き刺さりまくるだろう。
主人公・加藤が彼女の為に用意したケーキを渡せないでいるシーンや、女優の奈緒演じる美帆が、新しくできた彼氏を紹介した時にはおどけて祝福したりと、美帆のことが好きなのに、心の奥底に好意をしまい込み、気楽な友達を装う様子がリアルでもどかしさを感じさせる。
本作に出てくるキャラクターは悪者がいない。美帆の新しい彼氏もよくいる「良い人」だ。逆にそこがリアルで、神様が邪魔をしているのではと勘繰りたくなる、2人のすれ違いがリアルに表現されている。
結局、最後の最後まで、美帆の加藤への想いははっきりしないまま映画は幕を閉じる。美帆は彼氏から加藤の好意を知らされて泣いてしまうのだが、「心の底では加藤に告白して欲しかったのでは?」 などと推測させる描写となっている。白黒はっきりさせない演出にヤキモキしつつも、不思議と惹きつけられる一本だ。
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