究極のマフィア映画は? 映画史に残る犯罪映画の傑作(1)作者に殺害予告…!? リアル描写が心揺さぶる名作
映画史に燦然と輝くマフィア映画の数々。敵勢力との抗争に血道を上げ、死と隣り合わせの日々をおくるマフィアのエキサイティングな人生は、映画的という言葉にふさわしい。今回は、数あるマフィア映画の中から、重厚な物語と背筋の凍るようなスリルが味わえる傑作だけをセレクト。究極のマフィア映画たちをご紹介する。
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ナポリのマフィアの抗争を描いたカンヌグランプリ受賞作
『ゴモラ』(2008)
製作国 : イタリア
監督:マッテオ・ガローネ
キャスト:トニ・セルヴィッロ、ジャンフェリーチェ・インパラート、マリア・ナツィオナーレ
【作品内容】
イタリア南部ナポリを舞台に、かつてのマフィアをはるかに凌ぐ、権力と経済力を持つ犯罪組織「カモッラ」の暗部を描き出した作品となっている。
組織同士の抗争が絶えない地域で育った少年トトはある日、度胸試しの儀式を経験し、その後組織の仲間となる。それに対し友人であるシモーネは、対立するグループに加入する。
2人の友情は終わりを告げ、トトはあらゆる悪事に手を染めていく。そんな中、組織から下された、ある命令がトトの人生を大きく変化させていく…。
【注目ポイント】
この映画は、ナポリのマフィアの裏社会を舞台に、実際に起こった出来事をもとにした架空のエピソード5つが並行して描かれる重厚な犯罪ドラマだ。
ロベルト・サヴィアーノの著書『死都ゴモラ』が原作となっているが、彼はこの作品を執筆したことにより、2006年にマフィアから殺害予告を受ける羽目に。2008年には、度重なる脅迫により、イタリアを出国、海外移住を希望せざるを得ない状況に追い込まれた。
そんな問題作を映画化した本作は、第61回カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞を果たす。同年のヨーロッパ映画賞では作品賞、監督賞ほか5冠を達成し、2000年代以降、批評家から最も高く評価されたマフィア映画の1つとなった。
本作は、複数の人物が犯罪に関わって巻き込まれ続けていく姿をリアルに、かつ力強く描いており、殺伐とした雰囲気が映画全編に流れている。
アメリカ公開時には、かのマーティン・スコセッシがこの作品を絶賛。その結果、イタリア人だけでなく、世界中の観客から注目を集めることになり、その後、原案となった書籍はテレビシリーズ化され、5シーズンにわたって放送されるほどの成功を収めた。
マフィアの暗部を赤裸々に記録したために命を狙われた、作家ロベルト・サヴィアーノ。彼の原作を映画化した作品だけあって、他のマフィア映画とは比べ物にならないリアルな描写で観る者の心を揺さぶる一作だ。
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