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究極のマフィア映画は? 映画史に残る犯罪映画の傑作(2)。究極の超大作! インド版『ゴッドファーザー』

text by 編集部

映画史に燦然と輝くマフィア映画の数々。敵勢力との抗争に血道を上げ、死と隣り合わせの日々をおくるマフィアのエキサイティングな人生は、映画的という言葉にふさわしい。今回は、数あるマフィア映画の中から、重厚な物語と背筋の凍るようなスリルが味わえる傑作だけをセレクト。究極のマフィア映画たちをご紹介する。

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血で血を洗う抗争をリアルに描く
前後編で5時間超えのインド版『ゴッドファーザー』

『血の抗争』(2012)


出典:Amazon

製作国:インド
監督:アヌラーグ・カシャプ
脚本:アクヒルズ・ジャイスウォール
キャスト:マノージ・バージパイ、ナワーズッディーン・シッディーキー、ティグマンシュ・ドゥリア

【作品内容】

『デーヴD』(2009)や『DEVIL デビル』(2016)、『ザ・ブローラー/喧嘩屋』(2017)など、インドのみならず世界的に注目を集める鬼才アヌラーグ・カシャップ監督が2012年に発表した本作。

1940年代から三世代に渡る血で血を洗う壮絶な復讐劇を、壮大なスケールで描いた前後編約320分に及ぶ超大作だ。

舞台は1940年のインドの田舎町ワーセープル周辺。伝説の列車強盗スルタナ・クレシ率いる『クレシ家』が表では精肉業を営みながら、裏では暴力で街を支配する。

一方、クレシ家の独占支配に対抗し、スルタナの名をかたって列車強盗を働いたシャヒード・カーンは、所業がバレ、ワーセープルを追放されてしまう。彼は炭鉱産業で栄える隣の都市ダンバードに潜伏する。

その後、カーンは、炭鉱業を一手に引き受けるラマディル・シン率いる「シン家」の用心棒として炭鉱労働者を統率するようになるが、組織を乗っ取られることを恐れたラマディルが雇った刺客によって暗殺されてしまう。

カーンの死を受けて、彼の相棒だったナーシルは、カーンの幼い息子サルダールを連れてダンバードに潜入し、ラマディルへの復讐のチャンスを窺うのだが…。

【注目ポイント】

マノージ・バァージペーイー(マノージ・バージパイ)
マノージバァージペーイーマノージバージパイGetty Images

本作は、インド版アカデミー賞とも言われるフィルムフェア賞では批評家が選ぶ最優秀映画賞を受賞。日本では2013年のアジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映された。

監督を務めたのは『デーヴ D』『ザ・ブローラー/喧嘩屋』『息がつまりそう』などで知られるアヌラーグ・カシャップ。キャストには『タイガー・バレット』のマノージュ・バージパーイー、Netflixシリーズ『聖なるゲーム』のナワーズッディーン・シッディーキー、『英国総督 最後の家』のフマー・クレイシーなど、インド映画界を代表する名優が名を連ねている。

映画『血の抗争』は、“カーン一族”と“クレシ一族”の数世代にわたる確執、そして血で血を洗う抗争を描いたギャング群像劇だ。

この作品は、インドを舞台に、数十年間にわたる2つの犯罪シンジケートの対立を描き、文化的に深い背景と共に3世代、約70年にわたる戦いを骨太なタッチで活写。フランシス・フォード・コッポラによる『ゴッドファーザー』三部作、ブライアン・デ・パルマの『スカーフェイス』、そしてマーティン・スコセッシの『グッドフェローズ』の系譜に連なる、インドを代表するマフィア映画の大作である。

一方、物語のスケール、暴力描写以外にも、インド映画ならではの独自性が光る作品でもある。既存のギャング映画からの引用を巧みに行い、多才な要素を上手く融合させ、上映時間が320分と長時間ではあるが、最後の最後まで観客の目をスクリーンに釘づけにし続ける。

知られざるマフィア映画史のマスターピースであり、犯罪映画ファン必見の作品となっている。

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