最もつまらないトム・クルーズ映画は? 残念な失敗作(5)。郡を抜く駄作…大崩壊した空前の超大作計画とは?
ハリウッドのパワーランキングでも上位に食い込む人気と実力を備えるトム・クルーズ。自らの製作プロダクションを立ち上げており、プロデューサーとしても活躍している。とはいえ、それでも失敗作は生まれてしまうのが映画の難しいところ。そこで、映画に身を捧げるトム・クルーズでも面白くすることが出来なかった残念な作品を独断でセレクト。(文・高梨猛)
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旧リメイク作のインパクトには勝てず
砂漠の蜃気楼と化した巨大リブートプロジェクト
『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(2017)
上映時間:110分
原題:The Mummy
製作国:アメリカ
監督:アレックス・カーツマン
脚本:デヴィッド・コープ、クリストファー・マッカリー、ディラン・カスマン
キャスト:トム・クルーズ、アナベル・ウォーリス、ソフィア・ブテラ、ジェイク・ジョンソン、コートニー・B・ヴァンス、ラッセル・クロウ
【作品内容】
映画『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』としてリメイクされたこともある、1932年の古典的ホラー映画『ミイラ再生』をリブートしたアドベンチャー大作。
アメリカ軍の軍曹ニック・モートン(トム・クルーズ)は、イラクでの作戦中に古代エジプトのアマネット王女の墓を発見。2000年の眠りから目覚めさせてしまい、王女に呪いをかけられてしまう。
ニックは考古学者のジェニー(アナベル・ウォーリス)と共に調査をはじめるが、謎の組織「プロディジウム」に追われることに…。
【注目ポイント】
往年のユニバーサル・モンスターを復活させ、作品を連動させる『ダーク・ユニバース』の第一弾として企画されたが、そのあまりの出来の悪さにプロジェクトごと立ち消えとなった、まさに“砂上の楼閣”のような超大作。
この「ダーク・ユニバース」発表時には、トム・クルーズを中心に、ジョニー・デップ、ラッセル・クロウ、ハビエル・ヴァルデムらが並ぶ豪華な写真も公開されたが、いまとなっては他の俳優陣がスーツでフォーマルに決めるなか、トムだけがTシャツ姿でポケットに手を入れていたりして、なんだか不自然極まりない。
純粋に1本の大作映画としてみても残念だ。トム・クルーズ主演、古代エジプト、往年のモンスターとワクワクする要素が並んでいるのだが、これが驚くほど盛り上がらない。砂嵐のVFXも既視感があるし、モンスターには怖さも迫力もない。
トムはいつもの爽やか笑顔を見せてくれるが、その軽さが世界観からズレており、常に浮いている。それに加えて、ダーク・ユニバースに繋げるための思わせぶりなシーンが多く、当然のようにオチも無いので消化不良。
結果的に、壮大な予告編のような映画になっており、砂を噛んだような味気無さ。間違いなくトム・クルーズという俳優が紡いできた長い歴史において、群を抜いた駄作と言い切れる作品だ。
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