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巨額赤字で大爆死!史上最低の大コケ「アニメ映画」(5)脚本最悪で1.3億円のズッコケ…ディズニー転落の象徴

text by 寺島武志

世はアニメブーム。近年は年間の興行収入ベストテンをアニメ映画が独占することも珍しくない。とはいえ、すべてのアニメ映画が大ヒットしているわけではもちろんなく、興行的に伸び悩んだ作品も少なくない。今回は、大爆死した赤字アニメ映画をご紹介。映画史に残る大コケ赤字アニメ映画を5本セレクトした。(文・寺島武志)

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表面的な“多様性”に批判の声も…。
ヒットに恵まれなかったディズニー創立100周年記念作品

『ストレンジ・ワールド もうひとつの世界』(2022)


出典:Amazon

原題:Strange World
製作国:アメリカ
監督:ドン・ホール
脚本・共同監督:クイ・グエン
製作総指揮:ジェニファー・リー
キャスト(声優):ジェイク・ギレンホール、ジャブーキー・ヤング=ホワイト、デニス・クエイド、ガブリエル・ユニオン

【作品内容】

クレイド家はかつて冒険一家として知られていたが、父・イェーガーが事故で生死不明となったことが原因で、冒険から離れ、農業で生計を立てている。そんな中、一家が暮らす「アヴァロニア」は資源豊かな国だったが、エネルギー源である植物が絶滅の危機を迎え、世界は崩壊へと向かう。

この危機を救うため、イェーガーの息子、サーチャーは地底に広がる、“もうひとつの世界(ストレンジ・ワールド)”へと足を踏み入れる。そこは奇妙な生物が暮らす幻想的な地底世界。そこでサーチャーは失踪していたはずの父イェーガーと再会を果たし、やがて地底世界とアヴァロニアの驚くべき正体を知るのだが…。

『くまのプーさん』(2011)、『ベイマックス』(2014)など、ディズニーの人気作品を数多く手がけたドン・ホールが監督を務めた。伝説的な冒険一家クレイド家の親子3世代が、奇妙で不思議な世界で壮大な冒険を繰り広げる姿を描く。「ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念作品」と冠されている。

【注目ポイント】

(左から)俳優の鈴木福とお笑いトリオ・ネプチューンの原田泰造
左から日本語吹き替えを担当した鈴木福と原田泰造Getty Images

ディズニー作品らしく、良い意味で何の捻りもない冒険活劇だ。そして、主人公の息子は同性愛者である。しかし、その設定は本筋にほとんど影響を与えることはない。さらに主人公は白人で妻は黒人であり、愛犬はなぜか3本足だ。

ストーリーに影響しない程度に、LGBTQや人種差別、障がい者差別をなくそうとする試みがなされている。志向自体はもちろん素晴らしい。しかし、無理やりにキャラクター設定に入れ込むことで、どうしても拭えない違和感が見え隠れする。

ディズニー作品にしては珍しく、日本での興行収入は約1億3000万円と伸び悩む結果に。本国アメリカでも、ディズニーアニメ史上歴代2番目に低いオープニング成績を記録し、その“爆死っぷり”が話題を集めた。

ディズニー的な世界観満載でありながらも、脚本がイマイチであることが爆死の理由だろう。特に日本のアニメファンは、脚本に注目する傾向がある。日本のファンを満足させるためには、単に良質なだけでは足りず、意外性のある展開や独創性のあるキャラクター造形が必要不可欠だ。それに加え、『トイ・ストーリー』や『アナと雪の女王』といった既存のヒット作のキャラクターが登場するわけでもなく、ディズニーブランドを上手に使えなかったのも、敗因の一つと言えるだろう。

amazonprime

(文・寺島武志)

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