怖いほどリアル…未来を予測したSF映画は? 歴史に残る名作(2)老人とロボットの最強強盗コンビが誕生
今やChatGPTの登場によりSF世界が近づいたように思える。ハリウッドでは、映画作品にAIの技術を使用することに関して、ストライキが起きており問題となっている。今回は、現実を考える上で重要なヒントを与えてくれるSF映画を米The Hollywood Reporterを参考に5本紹介していく。
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老人×ロボットの最強強盗デュオが誕生
『素敵な相棒〜フランクじいさんとロボットヘルパー〜』(2013)
製作国:アメリカ合衆国
監督:ジェイク・シュライアー
脚本:クリストファー・フォード
キャスト:フランク・ランジェラ、ジェームズ・マースデン、リブ・タイラー、スーザン・サランドン
【作品内容】
元宝石泥棒で偏屈な70歳のフランク。物忘れが激しくなり、生活に介護が必要になる。
そんな時、息子から介護用にと超高性能ロボットをプレゼントされる。フランクは、そのロボットに泥棒のイロハを伝授。70歳にして、再び泥棒家業に復帰したことで、徐々に生きる意欲を取り戻していく。しかしそんなある日、保安官に、宝石泥棒の犯人と疑われ、事態は複雑な方向へ…。
【注目ポイント】
2013年に公開されたこの映画は、他にリストアップした映画と比べると知名度は劣る。しかし、これからの世界を考える上で、多くのヒントを与えてくれる。
引退した宝石泥棒のフランクは、認知症を患っている。ある日息子のハンターが、医療用ヘルパーロボットを買い、フランクにプレゼント。フランクは、そのロボットの認知システムに法律が組み込まれていないことに気づき、泥棒のテクニックを伝授。宝石泥棒を実行するためにロボット利用する。
ロボットと出会い宝石泥棒稼業を再開して以降、フランクは活き活きとし始める。その後、保安官に泥棒を疑われるシーンでは、ロボットは「自分のデータを消してください。そうすれば証拠は全てなくなり貴方は逮捕されません」とフランクに伝える。
しかしフランクはそれを拒否。しかしロボットは、「データを消して、もう一度泥棒の仕方を教えてください、また犯行計画を練りましょう」と言い、フランクは悲しげな表情を浮かべ、ロボットとハグをし、データを削除する。
本作に登場するこの名もなきロボットの存在は、善でも悪でもなく、それを使用する“人間のモラル”をそのまま映し出すもの、という興味深い議論を呼び起こす。
フランクは、ロボットが家に来てから、まるで新しい友達が出来たかのように、人生に生きがいを感じはじめる。AI技術が進歩した現在、ロボットが人間の心をケアするケースも絵空事ではない。その点、本作は未来を予告するような内容となっている。
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