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映画史に残る大喧嘩…監督VS役者のガチバトルが生んだ傑作映画(2)最早パワハラ?物議を醸した修羅場の裏側

text by 編集部

”胸を打つ傑作”を共に造り上げる、監督、共演者、スタッフ。しかしその裏では、厳しい指示出しや、過酷な演技指導があった。罵声が飛び交い、周りをヒヤヒヤさせ、現場をギスギスした空気に包み、更には”被害”と告白する共演者までー。そんな撮影の裏側があるからこそ、傑作を作り出した、監督VS共演者のバトルエピソードを5選紹介する。

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最早パワハラ? 好きだからこそ振り回されたリアル

『シン仮面ライダー』(2023)庵野秀明VS 池松壮亮


出典:Amazon 映画ポスター

上映時間:121分
製作国:日本
監督・脚本:庵野秀明
原作:石ノ森章太郎
キャスト:池松壮亮、浜辺美波、柄本佑

【作品内容】

日本を代表する特撮シリーズ『仮面ライダー』生誕50周年記念作品として、監督・脚本に『シン・ゴジラ』(2016)、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021)、『シン・ウルトラマン』(2022)を手掛けた庵野秀明を迎え、主演の仮面ライダー(本郷猛)には、オーディションの結果、池松壮亮の起用を決定し、1970年代前半にテレビ放送され、子どもから大人気を集めた『仮面ライダー』をベースとしながらも、新たなライダー像とともに、様々なオーグ(怪人)たちとの闘いを描くストーリーだ。

歴代の『シン』シリーズと比較すれば、やや見劣りするものの、興行収入は23億円を超え、それまでの『仮面ライダー』の映画シリーズの中で、最高記録を更新したという意味ではヒットしたといっていいだろう。

【注目ポイント】

俳優・池松壮亮(左)、監督・庵野秀明(右)【Getty Images】
俳優池松壮亮左監督庵野秀明右Getty Images

一方で、物議を醸したのは、NHKで放送された「ドキュメント『シン・仮面ライダー』~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~」で映し出された、撮影現場の模様だ。

『仮面ライダー』放送開始当時、小学5年生で大きな衝撃を受け、以来、大ファンだったという庵野。「ノスタルジーと新しさを融合したアクション映画」を目指すと語り、撮影に臨むが、庵野の理想と実際のアクションシーンとの乖離が明らかになるにつれ、スタッフのみならず、池松をはじめとするキャストも困惑させることになる。

撮影の冒頭で庵野は「僕が演出するとアニメっぽくなってしまうから俳優にお任せする」と語っていたにも関わらず、キャストたちには現場ですり合わせを行う時間もなかったと、池松自身が告白している。

そんな状況にありながら、庵野は何度もリテイクを繰り返し、現場を混乱させる。加えて、池松にどこまでのアクションシーンを要求するのかも線引きも曖昧なまま撮影に臨んだことから、池松は負傷してしまう。さらに、庵野が予定にないアクションシーンを追加した場面では、日没が迫る中、池松が大急ぎでアクションを覚えることになる。

庵野から一発OKが出たものの、その映像を確認した池松は「どうせやり直しでしょ? 」と疲れ切った様子で吐き捨てたのだ。このシーンはSNSを中心に物議を醸し、庵野に対し“パワハラではないか”との声も上がったほどだ。

リアルを追求する庵野と、それに振り回され続けた池松。クランクアップ後に池松は達成感を滲ませたが、ドキュメンタリー番組を観た者は、撮影現場のギスギスした空気を忘れることはできないだろう。

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