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映画史に残る大喧嘩…監督VS役者のガチバトルが生んだ傑作映画(5)ワガママ爆発…坂本龍一も苦心した相手は?

text by 編集部

”胸を打つ傑作”を共に造り上げる、監督、共演者、スタッフ。しかしその裏では、厳しい指示出しや、過酷な演技指導があった。罵声が飛び交い、周りをヒヤヒヤさせ、現場をギスギスした空気に包み、更には”被害”と告白する共演者までー。そんな撮影の裏側があるからこそ、傑作を作り出した、監督VS共演者のバトルエピソードを5選紹介する。

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”ワガママ”に耐えた坂本龍一、自身のアルバムでささやかなリベンジ

『リトル・ブッダ』(1993)ベルナルド・ベルトルッチVS 坂本龍一


出典:Amazon

上映時間:141分
原題:Little Buddha
製作国:イギリス・フランス
監督・原案:ベルナルド・ベルトルッチ
脚本:ルディ・ワーリッツァー、マーク・ペプロー
音楽:坂本龍一
キャスト:キアヌ・リーブス、イン・ルオチェン、クリス・アイザック、アレックス・ウィーゼンダンガー、ブリジット・フォンダ、ラジュ・ラル、グラシュマ・マカール・シングー

【作品内容】

1990年代のシアトル、9年前に死んだ高僧ドルジェの生まれ変わりであり、ブッダの魂を受け継ぐと語り、転生者探索を使命とするチベットのラマ僧ノルブ(イン・ルオチェン)が、その候補者となった7歳の少年・ジェシー(アレックス・ヴィーゼンダンガー)の家を訪ねる。

ノルブはジェシーに1冊の絵本を手渡す。それはガウタマ・シッダールター王子(キアヌ・リーブス)誕生の物語だった。その絵本を母に読み聞かせられながら、ジェシーはブッダの人生に触れていく。

キリスト教とは全く異なる「仏教」の教えを軸に、現代のストーリーと並行してブッダが悟るまでのストーリーも描かれ、オリエンタルで美しいブータンの雰囲気と坂本龍一の音楽とともに、東洋思想が美しく描かれている。

【注目ポイント】

監督・ベルナルド・ベルトルッチ(左)、音楽・坂本龍一(右)【Getty Images】
監督ベルナルドベルトルッチ左音楽坂本龍一右Getty Images

本作は、ベルナルド・ベルトルッチが監督を務め、坂本龍一が音楽を手がけた『ラストエンペラー』(1987)、『シェルタリング・スカイ』(1990)に続く「オリエント三部作」の3作目。

『ラストエンペラー』で坂本は、日本人として初めてアカデミー賞作曲賞を受賞。アカデミー賞9部門を制覇した。大ヒットした『ラストエンペラー』に続き、北アフリカを舞台とした『シェルタリング・スカイ』の製作に取り掛かるベルトルッチ。

当然、音楽も坂本に依頼するのだが、ベルトルッチからの細かい注文に苦労しつつ、それでもゴールデングローブ賞音楽賞を獲得するほどの上質の音楽を提供してみせた。そして3作目となる『リトル・ブッダ』。

ここでベルトルッチの“ワガママ”が爆発する。仏教からインスピレーションを得た作品でありながら、音楽は欧州の叙事詩的なものを求め、リテイクに次ぐリテイクが続き、70曲ほど採用された坂本の音楽は、実際「その3倍は書いた」と本人が回想している。

本作が日本で公開された1994年に発売された坂本のアルバムには、『リトル・ブッダ』のために書かれたものの、ベルトルッチの判断でボツになった曲も含まれている。

そのタイトルは「sweet revenge」と名付けられ、ベルトルッチに対する、坂本のささやかな抵抗を仄めかせている。

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