名作を超えちゃった!? 史上最高の日本版リメイク映画(1)見事すぎて脱帽…完璧リメイクを実現した感動作
世界中から評価される名作映画たち。日本でもリメイク映画は数多く制作されているが、今回はその中でも特に評価の高い作品を選出。脚本と演出を変えることで、日本人に馴染みやすくした監督と脚本家の手腕、また俳優たちの演技が光りまくる。オリジナルを超えた珠玉の日本版リメイク作品をセレクトした。
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韓流ブームの火付け役となった作品を見事に翻案
『8月のクリスマス』(2005)
上映時間:103分
監督・脚本:長崎俊一
原作:『八月のクリスマス』(1998・韓国)
キャスト:山崎まさよし、関めぐみ、西田尚美、大倉孝二、井川比佐志、戸田菜穂、草村礼子
【作品内容】
父から引き継いだ小さな写真館を営む穏やかな一人の男性・鈴木寿俊(山崎まさよし)が、仕事は楽しいながらも、病魔に侵されており、そのことを誰にも打ち明けずにいたが、そんな時に、近所の小学校の臨時教員をしている高橋由紀子(関めぐみ)出会い、残された人生を共に生きていく物語だ。
【注目ポイント】
原作は、韓流ブームの火付け役となった作品の一つで、1999年に日本で公開され大ヒットした『八月のクリスマス』。日本版リメイク作で主人公を演じたのは、これが8年ぶりの映画出演となる歌手の山崎まさよし。音楽と主題歌も担当している。
結論からいってしまうと、この物語はハッピーエンドではない。しかし、「死」というものを、特段、悲劇的に描くことなく、あえてその運命を受け入れ、“その日”まで楽しく生きようとする若者の姿を追っている。韓国で製作された原作との違いを挙げるとすれば、死に対する感覚の違いだろう。
隣国でありながら、その向き合い方は正反対であり、韓国人にとって、死とは例外なき悲劇として捉えられる。したがって、そこへ向かう物語も、どうしても重苦しいものとなりがちであり、感情表現も時として過剰なまでに豊かだ。
しかし、見方を変えれば、韓流映画やドラマが今もなお、受け入れられている要素が、その“分かりやすさ”にあるといっていいだろう。
日本版では、悲劇を背負っているはずの寿俊を演じる山崎まさよしの、優しさあふれる佇まいやナチュラルさが際立っており、それでいて、由紀子への思いは大事に胸に持っているという男性を好演している。
リメイク版は、オリジナルの韓国版からストーリー自体に大幅な改変はないものの、リメイクする上で、しっかりと日本人に向け、不自然さを見せないように気を配ったキャラクター設定が光る作品だ。
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