名作以上の傑作! 史上最高のリメイク日本映画(4)女優陣の演技が見事! 完璧な脚本と相乗効果で大絶賛
世界中から評価される名作映画たち。日本でもリメイク映画は数多く制作されているが、今回はその中でも特に評価の高い作品を選出。脚本と演出を変えることで、日本人に馴染みやすくした監督と脚本家の手腕、また俳優たちの演技が光りまくる。オリジナルを超えた珠玉の日本版リメイク作品をセレクトした。
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倍賞美津子と多部未華子の演技合戦に注目
『あやしい彼女』(2016)
上映時間:125分
監督:水田伸生
脚本:吉澤智子
原作:『怪しい彼女』(2014年・韓国)
キャスト:多部未華子、倍賞美津子、要潤、北村匠海、小林聡美、温水洋一、野村周平、金井克子、志賀廣太郎、三鴨絵里子、越野アンナ、久保佑太
【作品内容】
73歳になるカツ(倍賞美津子)は商店街界隈ではその毒舌が原因でトラブルメーカーとして恐れられていた。一方で、女手ひとつで一人娘の幸恵(小林聡美)を育て上げた。青春というものを知らないカツは、若い頃に戻った気になるため、写真館に入り、唇に紅をひき写真を撮ってもらう。
その後すぐ、ひったくりに遭うカツ。彼女はバイクを追いかけ、バッグを取り返す。その犯人が被っていたヘルメットには自分の顔が写っているはずが、見ず知らずの若い女(多部未華子)の姿が映っており、カツは“この女は誰だ”と驚愕する。
【注目ポイント】
韓国で大ヒットし、日本のみならず、中国、ベトナムなどでもリメイクされた『怪しい彼女』が原作。舞台を日本に置き換えたコメディーで、73歳の老女・瀬山カツ(倍賞美津子)が、ひょんなことから20歳の大鳥節子(多部未華子)と入れ替わってしまい、騒動に巻き込まれていくストーリー。
実はこの作品、日本のみならず、中国(『20歳よ、もう一度』2015年)、ベトナム(『ベトナムの怪しい彼女』2015年公開)と立て続けにリメイクされており、人気ぶりがうかがえる。
日本版では、夫を早くに亡くし、シングルマザーとして仕事と子育てに人生を捧げてきた倍賞美津子が、別人の身体をとおして青春を謳歌していく。そして彼女は、周囲の心をも次第に変えていく。
何といってもファンタジーあふれる脚本が出色で、女性が抱くいつまでも若くありたいという願望が万国共通であることが、世界中でリメイクされる理由だろう。
さらに、倍賞美津子と多部未華子という、世代こそ異なるが、日本を代表する女優が、この物語を彩っている。「見た目は20歳。中身は73歳」と聞くとキャッチャーで興味を引かれるが、肝心のお芝居が微妙であったら、興ざめしてしまうところだろう。
しかし、毒舌おばあちゃんの内面を完璧に憑依させた多部未華子の演技には、噓くささが微塵もなく、すっと物語に入っていける。また、坂本九の「見上げてごらん夜の星を」や美空ひばりの「真赤な太陽」といった昭和歌謡の名曲を熱唱するシーンでは、抜群の歌唱力を披露し、観る者の心を震わせる。
多部未華子の魂の熱演とノスタルジーを程よく引き立てる熟達の脚本。両者が相乗効果的に魅力を高め合い、他国のリメイクはもとより、オリジナル版をも凌駕する出来栄えとなった。
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