死ぬほどつまらないゴジラ映画は…? ファンも呆れる失敗作(5)もはや人形劇…最悪の”夢オチ”ラストの前衛作
2023年公開の『ゴジラ−1.0』でシリーズ30本目となるゴジラシリーズ。その制作には、円谷英二や本田猪四郎など、日本映画史を代表する才能たちが携わってきた。しかし、70年にも及ぶその歴史の中には、当然成功作とは言い難い作品も。今回は、ゴジラシリーズの中から世間の不評を買ったワースト作品5本を紹介しよう。(文・編集部)
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もはや人形劇…
怪獣映画とは呼べないシリーズ番外編
『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1969)
上映時間:70分
監督:本多猪四郎
脚本:関沢新一
キャスト:佐原健二、矢崎知紀、中真千子、天本英世
【作品内容】
「東宝チャンピオンまつり」の1編として上映された昭和ゴジラ第10作目。監督は本田猪四郎が務める。
鍵っ子でいじめられっ子の小学生・三木一郎は、遊び相手になってくれる発明おじさん・南信平の作った玩具で遊ぶのが唯一の楽しみだった。一郎は、ガラクタを集めて作った手製コンピュータで遊んでいるうちに、夢の怪獣島に誘われる。そこでは、一郎のお気に入り怪獣のミニラが、いじめっ子怪獣のガバラにいじめられていた。
ガバラを返り討ちにするため、ゴジラの特訓を受けようとする一郎だったが、信平に起こされてしまう。その後、空きビルにガラクタを集めに行った一郎は、そこに潜んでいた三千万円強盗に拉致されてしまい…。
【注目ポイント】
東宝の子ども向け興行プログラムの第1作として制作された本作。制作費が黄金期の4分の1程度に削減されたこともあり、全体的に使い回しの映像が多い上に戦闘シーンも迫力に欠け、人形劇さながらの牧歌的なものになっている。
また、シリーズで唯一、ゴジラをはじめとする怪獣が「フィクションのキャラ」として登場するのも本作の大きな特徴だ。その証拠に、ラストはなんと夢落ちで終わってしまう。つまり本作は、全編通して主人公・一郎の想像の産物なのだ。
とはいえ、見どころがないわけではない。例えば本作は、鍵っ子やいじめ、公害といった社会問題を扱っている点から、教育映画としての評価は高い。また、全編が夢であるという展開もかなりアヴァンギャルドで興味深い。
そうした意味で、本作はゴジラシリーズではなく、児童映画の文脈で語られるべき作品なのかもしれない。
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