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最も面白いゴジラ映画は? 特撮映画の歴史に残る名作(3)総選挙1位の傑作! ツウも唸る最高の物語とは?

text by 寺島武志

世界で最も有名な怪獣映画『ゴジラ』。およそ70年にわたって数々の名作を送り込んできた同シリーズの製作には、円谷英二や本田猪四郎など、日本映画史を代表する才能たちが携わってきた。今回はハリウッド製作のものを含めると約40作品にものぼる「ゴジラ映画」の中でも、最も面白く、評価の高いものをセレクトした。(文・寺島武志)

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初代「平成ゴジラ」にして最高の作品

『ゴジラVSビオランテ』(1989)


出典:Amazon

上映時間:105分
監督・脚本:大森一樹
特技監督:川北紘一
キャスト:三田村邦彦、田中好子、高橋幸治、金田龍之介、高嶋政伸、峰岸徹、小高恵美、沢口靖子、久我美子、永島敏行、上田耕一、中田博久、佐々木勝彦、松川裕美、相楽晴子、デーモン小暮

【作品内容】

ゴジラシリーズ第17作目で、設定を一新して復活した前作の『ゴジラ』(1984年)のその後を描いている。ゴジラの細胞と植物を掛け合わせた人造怪獣「ビオランテ」と人類、そして復活したゴジラが三つ巴になって戦うストーリーだ。

【注目ポイント】

映画監督の大森一樹
映画監督の大森一樹Getty Images

2022年に亡くなった大森一樹監督が初めてゴジラシリーズを手掛け、「平成ゴジラ」の方向性を決定付けた作品として記憶されている。ゴジラシリーズ通算第17作目で、「平成ゴジラ」シリーズとしては2作目にあたる。

ラブコメディーや青春群像劇などの娯楽作を中心に人気監督となっていた大森一樹を監督・脚本に抜擢。テンポのいい怪獣バトルや各国スパイたちの諜報戦などのエンタメ要素に加え、亡くなった娘の細胞を使って怪獣を誕生させてしまった父親の苦悩が入り交じるヒューマンドラマの要素も盛り込んでいる。

ゴジラシリーズを見てきた世代が大人となり、怪獣が戦うシーンだけでは満足しなくなりつつあったファンを唸らせる脚本となっている。大森に新時代のゴジラを託した意味も、そこにあるのだろう。

ゴジラの破片から「G細胞」と呼ばれる細胞を取り出し、遺伝子工学を使った新しいバイオ怪獣「ビオランテ」を作ってしまう科学者の暴走を描き、その細胞の奪い合いが爆破殺人にまで発展する。

さらにはゴジラの動きを止めるための核物質「抗核エネルギーバクテリア」を使った作戦を巡る国同士の駆け引きなど、底知れぬ人間の欲望を突きつける大人のドラマだ。

かといって、戦闘シーンにも抜かりはなく、防衛庁が全面協力し、劇中に登場するジープや73式大型トラック・自走砲・戦車などの自衛隊車両はすべて現役の自衛官が操縦している。

リアリティーにもとことん追求したことで、一部のゴジラファンからは“最高傑作”の声が上がり、2014年に行われた「ゴジラ総選挙」で本作が「ゴジラ映画No.1」に選出された。

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