芝居が上手すぎる! 演技力も最高の男性ミュージシャン(4)役者としても光輝く才能…世界級のギタリストは?
声や楽器に魂を込め、メッセージを届けるミュージシャン達。そんな彼らの中には、映画の中でも存在感を発揮する者がいる。彼らは、良い意味で体に力が入っておらず、まさに歌うように芝居をしていると感じる。そうした彼らの魅力に迫るべく、今回は本業が俳優でないにも関わらず、芝居が上手い男性ミュージシャンを5人セレクトして紹介する。
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役者としても光り輝く稀代のギタリスト
MIYAVI『ファミリア』(2023)
監督:成島出
脚本:いながききよたか
出演:役所広司、吉沢亮、サガエルカス、ワケドファジレ、松重豊、MIYAVI、佐藤浩市
【作品情報】
山里で孤独に暮らす陶器職人・神谷誠治(役所広司)。ある日、一流企業勤務でアルジェリアに赴任していた息子・学(吉沢亮)が、婚約者のナディアを連れて戻ってくる。学は今の仕事を辞めて職人になりたいと申し出るが、誠治は反対。
一方、隣町に住む在日ブラジル人のマルコスは半グレ集団に追われていた。マルコスは自分を助けてくれた誠治を慕うようになり、焼き物の仕事にも興味を持つようになる。
そんな中、アルジェリアに戻った学とナディアが不幸に見舞われる…。
【注目ポイント】
「サムライギタリスト」の異名を持つMIAYVI。X JAPANのYOSHIKI、L’Arc〜en〜CielのHYDE、LUNA SEAのSUGIZOと共に「THE LAST ROCKSTARS」を結成したことも記憶に新しい。
そんなMIYAVIの俳優デビューは、アンジェリーナ・ジョリー監督の映画『不屈の男 アンブロークン』だった。戦時中に起きた小笠原事件と、九州大学生体解剖事件に触れた一文が原作本にあったため、日本では小規模公開となったが、俳優初挑戦ながらも、日本軍の収容所長・渡辺伍長を説得力豊かに演じ切った。
その後も、映画『マレフィセント2』や『ヘルドッグス』などの話題作への出演を果たし、役者としてのキャリアを着実に紡いでいったMIYAVIだが、現時点での代表作は、役所広司と共演した本作『ファミリア』だろう。
本作で彼が演じたのは、在日ブラジル人を傷めつける半グレ集団のリーダー・榎本海斗。しかし世界の難民を救う活動をしているMIYAVIは、この役を演じるのには抵抗があったという。
だが、他者を受け入れることと反して、自らの正義のために生きる者もいるという両面的な部分を見せることも大切だと感じ、出演するに至った。
海斗はブラジル人に妻と子どもを殺された過去を持つ。その恨みから、無関係なマルコスを追いかけ回すようになる。MIYAVIは、海斗が囚われているどうしようもない恨みの感情を目に宿し、内に秘めた闇を暴力でしか表現できない人間を繊細な芝居で体現することに成功している。
本人の人間性とは真逆の人物を演じる。そんな難しい仕事を見事に乗り切り、俳優として一皮剥けたMIYAVIの、俳優としての今後の活躍に期待が高まる。
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