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今なら大炎上で一発アウト!? 問題だらけの名作日本ドラマ(2)現代なら即NG!? ぶっ飛びすぎな求愛行動

text by 寺島武志

時代を超え、人々の記憶に残る名作ドラマは数多くある。ところが、時の流れにつれ、テレビ放送における規定は変化し続けている。当時は名作と絶賛された作品も現在ではコンプライアンス的に再放送できないと判断されるものも増えてきている。今回は、現代では批判を喰らいそうな名作民放ドラマを5本厳選してご紹介する。(文・寺島武志)

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「僕は死にましぇん!」
武田鉄矢の名ゼリフが流行語大賞に

『101回目のプロポーズ』(1991)


出典:Amazon

放送期間:1991年7月1日~9月16日
放送時間:月曜21:00~21:54
放送局:フジテレビ系
脚本:野島伸司
最高視聴率:36.7%
キャスト:武田鉄矢、浅野温子、江口洋介、田中律子、竹内力、石田ゆり子、長谷川初範、浅田美代子、斉木しげる

【作品内容】

99回もお見合いを断られた冴えない中年男・星野達郎(武田鉄矢)が、オーケストラのチェリスト・矢吹薫(浅野温子)とお見合いをするが、あっさり薫に断られる。しかし、薫を忘れられない達郎はリハーサル後の薫を訪ね「50年後の君を今と変わらず愛している」と叫ぶ。

その言葉は3年前、結婚式の当日に事故で亡くなった元婚約者の真壁(長谷川初範)のプロポーズの言葉だった。その言葉をあらかじめ薫の妹の千恵(田中律子)から聞いていたのだ。薫は思わず心を揺さぶられ、達郎と会うようになる。達郎が薫に猛アタックをかけるが、薫は達郎に「人を好きになって失うのが怖い」と泣きながら打ち明ける。

最終回に記録した最高視聴率はなんと36.7%。CHAGE&ASKAによる主題歌の「SAY YES」もメガヒットを記録した。

この物語、野島伸司の脚本では最後に達郎が振られてしまうというストーリーだったが、視聴者から「なんとかハッピーエンドにしてほしい」という要望が殺到し、急きょ、脚本を変更。工事現場で働く達郎の元へ、ウエディングドレスを着た薫が走って駆け付け、「私をもらってください」と告げる。指輪もそれを買うお金もない達郎は、落ちていたナットを薫の左手薬指にはめるという感動的な場面で幕を閉じる。

【注目ポイント】

武田鉄矢【Getty Images】
武田鉄矢Getty Images

本作一番の名シーンと言えば、薫は達郎に「人を好きになって失うのが怖い」と打ち明けるシーン。それを聞いた達郎は、薫の前で、突然に車道に飛び出し、ダンプカーの目の前に飛び出す。ダンプカーは急ブレーキをかけ、目の前で何とか止まり、衝突は回避されるが運転手からドヤされる達郎そして、「僕は死にましぇん(ません)!あなたが好きだから、僕は死にません。僕が幸せにしますから」とプロポーズするのだ

実はこのシーン、武田はノースタントで挑んだものの、ダンプカーがブレーキを踏むのが一瞬遅れ、予定していた停止位置を大きくオーバーランしていたという。一歩間違えれば大事故だ。見返してみれば、武田がこわばった表情で後ろにのけぞっていることが分かる。わずかにでもブレーキが遅れたら…と思うと、背筋が寒くなる。この武田の体当たりの演技と、思わず博多弁が出てしまった「僕は死にましぇん!」のセリフはこのドラマの最大の見せ場となり、年末に発表される「新語・流行語大賞」にも選出された。

当時“月9”枠での主流だったトレンディードラマにカテゴライズされるかは微妙なところだが、その激し過ぎる求愛行動は、令和の今、ドラマで表現されたとしても“有り得ないだろ!”と総ツッコミが入ることは間違いないだろう。そもそも、ダンプカーの前に飛び出すという危険極まりないシーンについて、「金八先生」のイメージが壊れることを避けたかった武田は、明らかな道交法違反を犯すシーンについて難色を示していたという。

現在では再現することもできない名シーンだが、その裏では製作側、キャスト陣、そしてファンとのせめぎ合いがあったことを示すエピソードだ。そう思えば、平成初期はいい時代だったと感じさせられる。

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