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駄作か傑作か…ヤバい村を舞台にした迷作映画(1)。何も悪いことしてないのに…何ともえげつない衝撃展開続く

text by ZAKKY

近年は、清水崇監督による「恐怖の村」シリーズが話題を集めている。閉鎖的な空間で偏った思想に憑りつかれる住民たち、ジメジメした人間関係、奇妙な風習…。ホラー映画と“村”は実に相性が良いのだ。今回はアジア、ヨーロッパの作品を中心に、“ヤバい村”を舞台にした映画を5本セレクト。後味の悪さが際立つ迷作ばかりを揃えた。(文・ZAKKY)

まったく救いがない…。
呪いがテーマのモキュメンタリー

『女神の継承』(2021)


出典:Amazon

監督:バンジョン・ピサンタナクーン
原案:ナ・ホンジン
脚本:バンジョン・ピサンタナクーン
出演:ナリルヤ・グルモンコルペチ、サワニー・ウトーンマ、シラニ・ヤンキッティカン、ブンソン・ナークプー

【作品紹介】
タイ・韓国合作のホラー作。タイ東北部の村で脈々と受け継がれてきた祈祷師一族の血を継ぐミンは、原因不明の体調不良に見舞われ、人格が変わったように凶暴な言動を繰り返すようになってしまう。途方に暮れた母は、祈祷師である妹のニムに助けを求める。ミンを救うため、ニムは祈祷をおこなうが、ミンにとり憑いていたのは想像をはるかにえた強大な存在だった。

【注目ポイント】
本作は、フィクションをドキュメンタリー映像のように見せかけて演出するモキュメンタリー作品に仕上がっている。

まず、劇中に登場する祈祷師の一族は至極真っ当に生きている。それだけに彼らを取り巻く不条理さと陰惨さが際立ち、観る人によっては耐えられない内容かもしれない。そう、彼らは誰も悪くないのに、とんでもなく不幸な目に遭うのだ。もはやいじめに近い、閉塞感あふれるなんとも嫌な空気が、作品全体に漂っている。

さらに、物語の緩急の差が前・後半と分けて凄まじく、陰惨な恐怖から攻撃的な恐怖へと展開してゆく様は、エンターテインメントとして飽きない構成であるが、観賞後にカタルシスを感じられるか、と言ったら疑問だ。

終盤にて、犬に取り憑かれてしまった祈祷師集団の異常な光景も、何ともえげつない。“呪い”とは、結局なんだったのか? と着地点が曖昧な描写にも、賛否が分かれるところだろう。

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