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邦画史上最高の音楽映画は? 魂を震わす珠玉の日本映画(5)ベタな演出だけど号泣…!合唱の力を見せつけた力作

text by ZAKKY

いつの時代も人々に感動を与えてきた音楽。ビートルズしかりローリングストーンズしかり、自身の思いを世界に表現し続けるアーティストや歌手たちは、存在自体が芸術といえるだろう。今回は、数ある音楽映画の中から、日本で製作された珠玉の作品をセレクト。観れば勇気がもらえること請け合いの5本を紹介しよう。(文・ZAKKY)

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俳優たちの合唱に圧倒!
アンジェラ・アキの楽曲をもとにした青春映画

『くちびるに歌を』(2015)

上映時間:132分
監督:三木孝浩
原作:中田永一
脚本:持地佑季子、登米裕一
キャスト:新垣結衣、木村文乃、桐谷健太、恒松祐里、下田翔大、葵わかな

【作品内容】

長崎県・五島列島の中学校。 天才ピアニストだった柏木ユリ(新垣結衣)が、臨時教員として合唱部の顧問に就任。柏木は、コンクール出場を目指す部員たちに、「十五年後の自分」へをテーマに、手紙を書く課題を出す。そこに綴られていた15歳のリアルな言葉に、自身もピアノが弾けなくなったある悲しい過去を思い出す。

【注目ポイント】

新垣結衣
新垣結衣Getty Images

本作は、『陽だまりの彼女』(2013年)や『ホットロード』(2014年)を手がけた三木孝浩監督による青春映画で、アンジェラ・アキの楽曲「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」をモチーフとした生中田永一の同名小説を原作としている。

本作では、全ページで紹介した『スウィング・ガールズ』の「吹奏楽部」同様、どちらかというと地味なイメージがあった「合唱部」をテーマとしている。しかし、恒松祐里、下田翔大といった生徒たちによる気迫あふれる合唱シーンや、仲間を思いやるピュアなマインドは、他の部活動モノに負けないくらいの感動がある。

また、柏木役の新垣結衣の演技にも注目だ。どこか影があるキャラクターだが、真摯に生徒たちと向き合い、顧問として合唱部の生徒たちを不器用ながらもよい方向に導いてゆく彼女の姿には、音楽を通して何かを伝えたいという想いがにじみ出ている。

本作のラストシーンでは、柏木が船に乗り込み、学校を後にする。そこに合唱部員たちは港に駆けつけ、「笑ってー!」と、叫ぶ。それに対して柏木は、それまで見せたことのない満面の笑みで、生徒達に手を振る。そこから、アンジェラ・アキの楽曲「手紙」が流れ、エンドロールに入る-。

ベタな泣かそうとする演出かもしれないが、これを泣かずして、何で泣くのであろうか。

合唱部員役の俳優たちの努力と楽曲の素晴らしさ、全ての演者たちの絶妙なコンビネーションが生みだした至極の音楽映画と言っても過言ではないだろう。

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