「鬼畜すぎる…」実在の殺人事件がモデルの日本映画(4)トラウマ級に強烈…異常で残忍な”隣の連続殺人鬼”
text by 寺島武志
今回は実際に起きた殺人事件をベースにした日本映画を5本セレクト。実話ならではの血なまぐさいエピソードがてんこ盛り。香り立つ悪のバイタリティに圧倒されること間違いなし。映画の内容を紹介するとともに、モデルとなった事件の顛末も解説する。(文・寺島武志)
●「ボディーを透明にする…」日本を震撼させた連続殺人鬼の手口を再現
『冷たい熱帯魚』(2011)
監督:園子温
脚本:園子温、高橋ヨシキ
キャスト:吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり
【作品内容】
本作は2011年に公開された日本映画。園子温監督の脚本によるホラー作品で、1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件をベースとした物語だ。公開当時、過激な描写が話題を集め、R18+(18歳未満は観覧禁止)に指定されている。
埼玉愛犬家連続殺人事件は、1993年に日本の埼玉県熊谷市などで発生した殺人事件。マスコミ報道が過熱し、被疑者の映像が連日のように映し出された上、完全犯罪を目論んだ残忍な結末が明らかになるなど異常性の高い事件だ。
事件は、ペットショップ「アフリカケンネル」の経営者夫婦がビジネスで揉めた相手を殺していく中で、その殺人方法が恐怖で満ちあふれている。
「ボディーを透明にする」などという隠語を用い、笑いながら死体を解体して跡形もなく処分する経営者夫婦。一見どこにでもいる、気のいいオジサンが、一転、殺人鬼に変貌する過程には戦慄を覚える。
同作ではペットショップではなく熱帯魚店という設定になっているものの、殺人の手口は忠実に再現されており、それは、常人の発想とは思えないほどの異常性や残忍さを帯びている。完璧に遺体を消し去り、「遺体なき殺人」とまで呼ばれたその手法は、およそ人間の業とは思えないほど。
観る人によってはトラウマにもなりかねないほどの強烈さである。
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