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ツッコミどころ満載で大コケ…2023年最悪の日本映画(3)全てが駄々ずべり…脚本も配役も最低の問題作

text by 編集部

『怪物』や『ゴジラ−1.0』、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』など、話題作が目白押しだった今年の日本映画界。しかし、そんなヒット作の裏側には、鳴り物入りにも関わらず儚く散っていった作品も数多く存在する。今回は、そんな作品の中から5本を厳選してご紹介しよう(文・編集部)

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本当に坂元裕二作品…?何もかもが中途半端な問題作

『クレイジークルーズ』

吉沢亮
吉沢亮Getty Images

 

上映時間:127分
監督:瀧悠輔
脚本:坂元裕二
キャスト:吉沢亮、宮崎あおい、高岡早紀、安田顕、菊地凛子、永山絢斗、吉田羊

【あらすじ】

豪華クルーズ船MSCベリッシマでバトラーとして働く冲方優は、42日間に及ぶエーゲ海ツアーに出航しようとしていた。そんな中、乗客の盤若千弦が冲方に互いの恋人が密会している旨を告げる。

デッキで互いを慰め合い、仲を深めあう2人。しかし、そんな彼らの目の前でいきなり殺人事件が発生する。2人は、事件を見なかったことにしようとする他の乗客をよそに潜入捜査を開始するが…。

【注目ポイント】

今年、是枝裕和監督の『怪物』でカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した名脚本家、坂元裕二。そんな彼の最新作がこの『クレイジークルーズ』だ。

監督は坂元が脚本を務めた『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021)の演出を担当した瀧悠輔で、吉沢亮、宮崎あおいの豪華ダブルキャストが主演を務める。

『怪物』以来の坂元作品、しかもNetflix映画とあって、期待する声はかなり高かった。しかし多くの視聴者はそのあまりの出来栄えに拍子抜けしたことだろう。

まず何より、脚本があまりに中途半端だ。恋愛を描きたいのかミステリーを描きたいのか、それともコメディを描きたいのかよくわからない。しかも本作のミステリーは、事前に殺人事件の犯人が分かっている「倒叙もの」であるにも関わらず、謎解きの面白さがほとんどない。

役者の演出もいただけない。主演の吉沢亮をはじめ、大半のキャスト陣は、坂元裕二の少し浮世離れしたセリフにリアリティを吹きこめておらず、完全に上滑りしてしまっている(映画プロデューサー役の菊地凛子、坂元組の常連である近藤芳正は例外的に良かった)。これは役者の責任ではなく、ひとえにキャスティングをしたプロデューサー側の責任だ。

思うに本作は、撮影前のプリプロダクションの段階でNetflix側の意向がかなり働いたのではないだろうか。Netflixの公式の発表によると、坂元は今年の6月にNetflixと5年間の専属契約を交わしたのだという。今後が思いやられるのは坂元作品を楽しみにしている私たちだけではないはずだ。

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