ホーム » 投稿 » 5選記事 » 2023年民放ドラマ表彰式(6)脚本賞にふさわしいシナリオを手がけたのは? 視聴者を驚かせた最高の物語の作者は?

2023年民放ドラマ表彰式(6)脚本賞にふさわしいシナリオを手がけたのは? 視聴者を驚かせた最高の物語の作者は?

text by 寺島武志

2024年に突入した。今回は2023年の民放ドラマ作品を振り返る「映画チャンネル ドラマアカデミー賞」を開催。「主演男優賞」、「主演女優賞」、「助演男優賞」、「助演女優賞」、「新人賞」、「脚本賞」、「主題歌賞」の7部門から映画チャンネルが独断で選出。今回は今年もっとも輝いた脚本家を選出する。(文・寺島武志)

「脚本賞」
バカリズム『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)

バカリズム ブラッシュアップライフ公式Instagramより

【他のノミネート】

福澤克雄<原作>(TBS系『VIVANT』)
金子ありさ(TBS系『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』)
後藤法子(フジテレビ系『罠の戦争』)
奥寺佐渡子(TBS系「『下剋上球児』)

【授賞理由】

平凡な30代女性が、記憶を保持したまま同じ人生を繰り返す本作。脚本を担当しているのは、ピン芸人として既に一流の域に達しているバカリズムだが、意外にも「R-1」などの賞レースでの優勝経験はない。しかし、脚本家として、もう1つの才能が花開くことになる。

自身のブログを書籍化したものを、さらにドラマ化した『架空OL日記』(読売テレビ、2017)でギャラクシー賞を受賞し、映画化にまでこぎつける。さらに、脚本をのみならず、井浦新とともに主演を務めたドラマ『殺意の道程』(WOWOW、2020)も好評を博し、後に映画化された。

彼の作風は、コミカルの中に、人間が持つ毒性を発露させるようなブラックコメディーが多い。本作も、彼の頭の中にある“毒”が、いかんなく発揮されている。「もし、いま持っている経験や知識を持ちながら生まれ変われるなら…」といった、誰しもが抱いたことがある夢想のような思いを形にしたのが本作だ。しかも、赤ちゃんから生き直すか、珍獣になるかという究極の選択を迫られるという彼ならではのブラックユーモアも多分に込められている。

一見、奇天烈なストーリーかと思いきや、登場人物の会話劇によって物語が構成され、そのセリフ一つひとつに伏線めいたものが含まれているのも、彼ならではの作り込まれた脚本だ。それを表現するために、安藤サクラ、夏帆、木南晴夏といった若いながらも経験豊富な女性キャストの起用は必須であり、加えて、黒木華や松坂桃李、染谷将太、水川あさみといった一流俳優で脇を固めるという贅沢なキャスティングが実現した。

(文・寺島武志)

【関連記事】
2023年民放ドラマ表彰式(7)最優秀主題歌賞は…?
2023年民放ドラマ表彰式(2)最優秀主演女優賞は…?
2023年民放ドラマ表彰式(全部門)

error: Content is protected !!