これが実話…!? 胸アツな野球映画(5)。妻夫木聡に亀梨和也が熱演! 儚くも熱い青春…感動の日本映画とは?
白球を追う選手たちの華麗な身のこなし、勝利にかける思いとチームメイトとの友情…。グラウンドには沢山のドラマが詰まっている。今回は、野球をテーマにした珠玉の映画を厳選してご紹介。セレクトした作品はすべて実話が基になっている。モデルとなった出来事や人物の知られざる秘話に触れることで、もっと野球が好きになるはずだ。
●野球を通じて誇りを取り戻す若き日系移民たちの儚くも熱い青春
『バンクーバーの朝日』(2013)
監督:石井裕也
脚本:奥寺佐渡子
キャスト:妻夫木聡、亀梨和也、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮
【作品内容】
1900年代に入って間もない頃、多くの若者は不景気な日本を飛び出し、成功を求めてカナダへと渡った。しかし現実は厳しく、差別や搾取に苛まれる日々が彼らを待ち受けていた。そんな中、バンクーバーの日本人街に野球チーム「バンクーバー朝日」が結成される。キャプテンに就いたレジー笠原(妻夫木聡)は、体格で上回る白人チームに勝つため、バントや盗塁を駆使したプレースタイルを考案。機敏さを活かした頭脳的な野球は「サムライ野球」と称され、日系移民に勇気を与えると同時に、彼らに偏見の目を向けていた白人たちからも認められるようになる。順風満帆に思われた「バンクーバー朝日」だったが、戦争の影が忍び寄り、事態は思いも寄らぬ方向へと進んでいく…。
【作品解説】
戦前のカナダ・バンクーバーに実在した日系人野球チーム「バンクーバー朝日」を描いた、フジテレビジョン開局55周年記念作品。監督は『舟を編む』(2013)で日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した石井裕也。当時のバンクーバーの雰囲気を再現するため、北関東に巨大なロケセットを組んで撮影が敢行された。
亀梨和也、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮といった、野球経験のある俳優がメインキャストを務めていることもあり、プレーシーンには説得力があり、観ていて思わず力が入るほど。野球を通じて絆を深めていくチームメイトたち、「バンクーバー朝日」の活躍に励まされる日系移民たちの姿に、胸が熱くなること間違いないだろう。
モデルとなったのは、戦前のカナダに実在した
日系人野球チーム「バンクーバー朝日」
1914年にカナダ・バンクーバーで暮らす日系移民を中心に結成された「バンクーバー朝日」。当時、現地の白人たちは「出稼ぎに来た日本人が我々の仕事を奪っている」と日系人に対する差別を強めていた。それに対し、日系人たちは、野球を通じて「日本人の誇りを見せたい」という思いでチームを結成。
初代監督の宮崎松次郎は相当な熱血漢であったようで、猛練習を課すことでチームはめきめきと力をつけ、結成5年目の1919年には、カナダのマイナーリーグで優勝を果たしている。
その後も、堅い守りにバントやエンドランを武器とする、緻密な「頭脳野球」を貫くことで、白人たちも応援する人気チームとなっていった。ちなみに1935年には、結成されたばかりの大日本東京野球倶楽部(現在の読売ジャイアンツ)と親善試合を行っている。
1941年に太平洋戦争が勃発すると、選手たちは捕虜として身柄を拘束され、収容所や疎開地へ送られる憂き目に。それにともない、「バンクーバー朝日」は35年以上にわたる歴史を閉じることになった。
終戦後、野球を通じて対立する人種間に連帯をもたらした「バンクーバー朝日」の功績は尊ばれ、2003年にはカナダ野球殿堂入り。映画の公開を機に、現地の日系人によって再結成されるなど、未だにその火は絶えていない。
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