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社会現象連発! 伏線回収に鳥肌…史上最高の考察系ドラマ(5)原作からの改変も見事…! 最高級のミステリー

text by 寺島武志

近年、SNS普及の影響もあり、ドラマ作品の“考察ブーム”が囁かれる。考察要素を持つドラマ作品は、その世界観に視聴者を引き込み、時として、世間を席巻するほどの反響を得ることもある。今回は、考察要素の高い民放ドラマ作品を5本セレクト。一気見したくなるに違いない名作を厳選してその魅力をご紹介する。(文・寺島武志)

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湊かなえ原作の純愛ミステリー
”N”とは誰のことか?

『Nのために』

榮倉奈々【Getty Images】
榮倉奈々Getty Images

放送期間:2014年10月17日~12月19日
放送時間:金曜22:00~22:54
放送局:TBS系
原作:湊かなえ
脚本:塚原あゆ子、山本剛義、阿南昭宏
最高視聴率:11.8%
キャスト:榮倉奈々、窪田正孝、賀来賢人、小出恵介、徳井義実、小西真奈美、三浦友和

【作品内容】

2004年12月24日、野口貴弘(徳井義実)と妻の奈央子(小西真奈美)夫妻が殺害された。現場に居合わせた杉下希美(榮倉奈々)、成瀬慎司(窪田正孝)、安藤望(賀来賢人)、西崎真人(小出恵介)の4名。その中で西崎真人が殺人を自供して逮捕された。

事件から10年後の2014年。元警察官の高野茂(三浦友和)は野口夫妻殺人事件の調書や裁判記録を読み漁り、事件の判決に疑念を抱いていた…。

【注目ポイント】

湊かなえの小説の原作を基に映像化された推理ドラマである本作。希美、成瀬、望、西崎、野口、奈央子と、主要登場人物たちすべてイニシャルに「N」が含まれていることから名付けられたタイトルだ。

野口と奈央子の夫妻が殺害された事件から端を発し、殺人を自供し、刑に服した西崎。しかし、希美、成瀬、望も現場に居合わせており、西崎の出所と同時に再会を果たす。しかしながら、それは6人の「N」にとって、儚い絆と、大事な人を守るための嘘が渦巻くミステリーの始まりだった…。

それぞれが抱える複雑な感情や、出自、過去の不幸な出来事なども織り交ぜながら、湊かなえの原作にわずかながら改変を加えているものの、その世界観を損なうことなく描いている。視聴者も、6人の人間関係を紐解きながら、時には感情移入して、没入感を味わえるストーリーとなっている。

湊かなえ原作のドラマは、とかく暗くなりがちだが、映像化に際して、登場人物の心理描写にフォーカスした脚本と演出が奏功し、ギャラクシー賞にも輝いた。

考察系ドラマといえば、黒幕の正体といった終盤でのどんでん返し展開や、トリックなどのギミック面で取り出されがちだが、本作はこの心理描写の巧みさが他の作品とは違う魅力と言えるだろう。

本作はプロデューサー・新井順子と演出・塚原あゆ子が初タッグを組んだ作品でもあり、この2人はその後、『最愛』(2021)、『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(2022)、そして『下剋上球児』(いずれもTBS系)でもタッグを組み、ヒットメーカーコンビとして活躍を続けている。

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