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全然似てない…原作を冒涜? 漫画実写化、最低のキャラクター(5)衝撃のドイツ人役…でもこれはこれでアリ!?

text by ZAKKY

多くのファンから期待がかかる人気作品の実写化だが、すでにイメージが固まっているキャラクターを演じるのが、そう容易くないことを理解はしていても、やはりイメージと違うとがっかりしてしまうものだ…。そこで今回は、原作と大きく離れてしまった、人気作の実写化の再現度が低いキャラクターを5人セレクトして紹介する。(文・ZAKKY)

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これはこれでアリ! 違和感を飛び越えてもはやハマり役

竹中直人『のだめカンタービレ最終楽章』ミルヒー

俳優の竹中直人
竹中直人Getty Images

監督:武内英樹
脚本:衛藤凛
出演:上野樹里、玉木宏、瑛太、水川あさみ、小出恵介、ウエンツ瑛士、ベッキー、山田優、谷原章介、吉瀬美智子、猫背椿、竹中直人

【作品内容】

エリート音大生・千秋真一(玉木宏)は、飛行機恐怖症のせいで音楽の本場・ヨーロッパに行けず将来に行き詰まっていた。自暴自棄になり酒に酔って寝てしまうが、目を覚ますとゴミの山と悪臭の中で美しいピアノを奏でる女性・野田恵(上野樹里)がいた。

この出会いにより2人の運命は大きく変わっていくことになる。

そして大きな音楽コンクールで優勝した千秋は、オーケストラの指揮者を努めることに。だが、やる気のないオーケストラに失望した千秋は、のだめに演奏を依頼する。

【注目ポイント】

もはや伝説と化している、音大生たちの恋愛模様をコミカルに描いた人気コミックの実写化版。主演は、玉木宏と上野樹里。両者の鉄壁のコンビネーションは原作ファンのみならずとも、多くの視聴者を魅了した。

ドラマ版が放映された当時から「原作超え」の呼び声も高く、役者陣の演技、制作陣の演出に、並々ならぬ原作愛が感じられる作品であり、ドラマ版から原作ファンになるという人も続出。現在でも語り継がれる、実写版の大成功例だ。

その勢いは、劇場版『のだめカンタービレ最終楽章 前編』(2009)、『のだめカンタービレ最終楽章 後編』(2010)においても、炸裂している。

さて、そんな名作において、原作キャラの再現度という点で、疑問を抱かざるを得ないキャスティングがある。そう、世界的に有名なドイツ人指揮者・ミルヒーを演じた竹中直人である。

原作では、ドイツ人設定であるのだが、その役を、色黒の竹中氏が演じるという、いかにも雑なキャスティング。確信犯的に炎上を狙ったかのような配役には、当時から困惑の声が聞かれたが、実際、当の竹中氏はドラマ化のオファーがあった際に、違和感を与えてしまうことを懸念して一度断ったというエピソードが残されている。

「カツラなどをつけて、後は特殊メイクで鼻を高くしたら出来るかも知れませんね…。あっ、いや!それじゃあコントになってしまいますものね。やっぱり無理です」と。

しかし、プロデューサーはこの発言を聞き、むしろ「面白い!」と感じたらしく、起用に至ったとのこと。逆に考えると、ドイツ人役を、フィクションならではの不思議な役どころに落とし込んだ竹中氏の表現力は素晴らしいの一言。“ミルヒー=竹中直人”は治外法権とばかりに、喉まで出かかった違和感の表明を「これはこれでアリか」と抑えることに成功した原作ファンも少なくないだろう。

2023年10月に行われたミュージカル版『のだめカンタービレ』にて、ファンからの要望もあり、上野樹里と共に、再び同役に起用された竹中直人。このキャスティングは、竹中版ミルヒーの人気が健在であることを雄弁に物語っている。

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