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「なぜそうなる!」理不尽改変に激怒…原作者に嫌われた名作映画(2)実は泥沼の裁判に転落…超大作の裏に悲劇

text by 寺島武志

名作と呼ばれる映画作品の中には、元となった原作そのものが名作であることも多い。原作つきのものを映像化する場合、ストーリーの改変やその権利をめぐってのトラブルはつきものだが、中には訴訟問題にまで発展してしまうことも。今回は、原作者やその親族から訴えられた海外映画を5本セレクトしてご紹介する。(文・寺島武志)

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新型コロナが生んだ悲劇…判決はどうなるか?

『トップガン マーヴェリック』(2022)

トム・クルーズ
トムクルーズGetty Images

上映時間:131分
原題:Top Gun: Maverick
製作国:アメリカ
監督:ジョセフ・コシンスキー
脚本:アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー
原案:ピーター・クレイグ、ジャスティン・マークス
キャスト:トム・クルーズ、マイルズ・テラー、ジェニファー・コネリー、ジョン・ハム、グレン・パウエル、ルイス・プルマン、エド・ハリス、バル・キルマー、アンソニー・エドワーズ、メグ・ライアン

【作品内容】

アメリカ海軍のエリートパイロットチーム・トップガンに、伝説のパイロット・マーヴェリック(トム・クルーズ)が教官として帰ってくる。彼は守ること、戦うことの厳しさを訓練生に教えるが、訓練生たちは、型破りな指導に反抗する。訓練生の中には、かつてマーヴェリックとの訓練飛行中に命を落とした相棒グースの息子ルースターの姿もあった。

トム・クルーズをハリウッドのスターダムへと押し上げた伝説の作品『トップガン』。2022年に公開された『トップガン マーヴェリック』は、前作から実に36年の時を経て制作された待望の続編である。なお、本作では、2012年に急死した前作の監督トニー・スコットに代わり、『オブリビオン』(2013)のジョセフ・コシンスキーが監督を務めている。

【注目ポイント】

ミッチェル大佐を演じたトムは還暦が近いとは思えない筋肉バッキバキの肉体美を見せ、オリジナル版と同じように「デンジャー・ゾーン」をバックに戦闘機が飛び立つシーンも挿入され、オールドファンも満足させる作品だった。日本国内でも約135億円の興行収入を記録した。

その陰で本作はトラブルに見舞われていた。映画『トップガン』オリジナル版の原作となったのは、雑誌「California」誌上で執筆した海軍のエリートパイロットについての記事「Top Guns」。その著者エフド・ヨナイの遺族が、パラマウント・ピクチャーズを著作権侵害で訴えたのだ。

映画化を見越してパラマウントは、記事が出て間もない1983年年5月18日に映画化権を取得した。対してヨナイがこの記事の著作権登録をしたのは、およそ半年後の1983年10月3日。

続編話が浮かんでは消える状況の中、オリジナル版監督のトニー・スコットが亡くなる。しかし、トムをはじめ、製作陣が奔走し、『オブリビオン』でトムとタッグを組んだ映画監督ジョセフ・コシンスキーに、この話を持ち込み、2018年後半に撮影が開始された。

ところが撮影が開始されるより以前の2018年1月23日、ヨナイの妻と息子は、2020年1月24日をもって使用権を停止するとの手紙をパラマウントに出していた。アメリカの著作権法では、1977年以後の著作の場合、35年経てば、使用の権利を著作権保持者が取り戻せることになっている。ヨナイの遺族は、2年後にその権利を行使することを事前にパラマウントに伝えていたという。

パラマウント側は当初、本作の公開を2019年7月12日に設定しており、期限が失効する前に公開すれば問題にならないという考えで、延長の交渉や手続きを踏まなかった。

しかし、新型コロナウイルスが世界中に流行したことで当初の予定は大きくずれ込み、公開日は何度も延期されることとなった。

ようやく公開が目の前となった段階で、しびれを切らしたヨナイの遺族は、公開停止を求める文書をパラマウントに送付したが、既にプレミア公開は過ぎており、今さら公開中止はありえないと、パラマウントは公開を強行。それを受けてヨナイの遺族は訴訟を起こした。その判決は未だ出ていない。

トムとマイルズ・テラーの間では、すでに3作目の構想もあるというが、それが実現できるかどうかは、この訴訟の行方にかかっているといっていいだろう。

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