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名作日本映画ぶち壊しの駄作…史上最悪のリメイク映画(2)呪いは理解できない…? 二匹目のどじょうは撃沈

text by 編集部

日本映画が海外でリメイクされている作品がいくつか存在するが、今回はその中から史上最低の映画をセレクト。興行的には成功した作品でも、オリジナルファンを憤慨させる駄作や、監督が嫌々で制作したもの、そもそも公開に至らなかった作品など、あらゆる方向からワーストリメイク映画を選出した5本を紹介する。

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ホラー要素は特殊メイクで補った結果、興行収入は大成功したが…。

『ザ・リング』(2002)

ナオミ・ワッツ
ナオミワッツGetty Images

上映時間:116分/PG12/
原作:『リング』(1998)
製作国:アメリカ
監督:ゴア・バービンスキー
脚本:アーレン・クルーガー
キャスト:ナオミ・ワッツ、マーティン・ヘンダーソン、ブライアン・コックス、デビッド・ドーフマン、リンゼイ・フロスト、アンバー・タンブリン

【作品内容】

日本を代表するJホラー『リング』をハリウッドがリメイク。

アメリカのとある地域で、同日同時刻に少年少女たちが変死するという怪事件が発生する。新聞記者のレイチェルは彼女たちが「見ると7日間に死ぬ」と噂される呪いのビデオを山奥のロッジで観ていたことが和かえる。レイチェルはそのビデオを入手するが、目を離している隙に、幼い息子がそのビデオを見てしまう。息子を助けるべく「呪いのビデオ」の真相に迫る。

【注目ポイント】

本作は、その後のホラーブームの火付け役となった鈴木光司の小説を、原作ジャパニーズホラーの大家・中田秀夫のメガホンによって実写映画化した『リング』をリメイクした作品。原作に登場する「貞子」を一躍、中田作品に欠かせぬキャラクターとして定着させた作品でもある。リメイク版では、死に導く“呪いのビデオ”を巡るサスペンス要素満載のストーリーである点では、オリジナル版を踏襲している。

しかしながら、「ホラー映画」に対する日米の見方の違いは如何ともし難かったようだ、元々はミステリー小説だった作品だ。それをホラー映画とする過程で、謎解き要素を若干、削がなければならなかったことは致し方ないとしても、リメイク版ではミステリー要素がほぼ消えていた。そもそも“呪い”という概念をアメリカ人に理解させる方が難しかったのではないだろうか。本作はその分、特殊メイクに力を入れ、ホラー要素をより強調した作りとなっている。

興行的には成功し、製作費が約4800万ドルと低予算だったにもかかわらず、約1億2900万ドル(約190億円)と、予想以上の興行収入を記録。この高い回収率を受け、続編の『ザ・リング2』、清水崇監督の『呪怨』のリメイクである『THE JUON/呪怨』、中田作品の『仄暗い水の底から』のリメイク『ダーク・ウォーター』など、多くのジャパニーズホラーのリメイク版が作られている。

しかしながら、批評家からのジャッジは芳しいものではなく、本作はまずますの評価を得たものの、“二匹目のどじょう”を狙ったジャパニーズホラーのリメイク版が次々と量産されるのに反比例して、評価は下がる一方となった。

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