金返せレベルの酷さ…お笑い芸人監督の悪名高い最低映画(5)シュールすぎる…自分のファンしか見ていない?
北野武や竹中直人、劇団ひとりなど、これまでさまざまなお笑い芸人が映画界に挑戦してきた。しかし、中には、華々しくデビューを飾ったにも関わらず、多くの観客を困惑させてしまった者も少なからず存在する。今回は、監督デビューしたものの残念な結果に終わってしまった、お笑い芸人が監督した映画ワースト5を紹介しよう。(文・編集部)
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世界観がシュールすぎる…!
板尾創路がメガホンを取った摩訶不思議な脱獄ムービー
板尾創路『板尾創路の脱獄王』(2010)
監督:板尾創路
脚本:増本庄一郎、板尾創路、山口雄大
出演:板尾創路、國村隼
【作品内容】
脱獄王・鈴木は、どんなに条件が厳しくとも必ず牢から脱獄する。しかし、脱獄しては捕まり、脱獄しては捕まり…と、何度も何度も脱獄を繰り返すのであった。
【注目ポイント】
シュールな芸風と圧倒的な大喜利センスでお笑い界に唯一無二のポジションを確立した板尾創路。俳優としても八面六臂の活躍を見せる板尾が主演・監督・脚本を務める作品が、この『板尾創路の脱獄王』だ。
どこかつかみどころがない印象がある板尾だが、本作にはそんな板尾の「作家性」が見事に現れている。特に、編集に表れている独特の間や、何度も繰り返される脱獄には、クスリとさせられること請け合いだろう。
ただ、このシュールさは、無表情な板尾創路のキャラクターや、國村隼をはじめとするベテラン勢の演技によって成り立っている感は否めない。また、松本人志が手がけた『大日本人』同様、正直見る人を選ぶ作品でもある。
やりたいこと、見せたいものがはっきりしているため、作品としてのクオリティはそこそこ高い。しかし万人ウケを考慮すると辛い評価を下さざるを得ない。
また、娯楽作ではなく芸術作品としてみた場合、映画作家としての板尾の個性が、目の肥えた映画ファンや批評家、海外の観客を唸らせるほど他を圧して優れているかと言われたら、そこまでではないだろう。
つまるところ、この映画は、年季の入ったお笑いファン、板尾ファンの方向しか向いていないのではないか。それが釈然としない印象につながっているのかもしれない。
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