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最悪の改変…原作者がブチギレた?いわくつきの民放ドラマ(4)原作の何もかも無視…完全消滅した幻の駄作は?

text by 寺島武志

日本で製作されるドラマの多くは、小説や漫画が原作になっている。世界観を忠実に再現した作品は高評価を得ることができ、ドラマにも原作にも相乗効果を生む。しかし中には、ありえない改変をほどこし、視聴者のみならず原作者まで敵に回してしまう残念な作品が存在する。そこで今回は、原作者が激怒したドラマを5本紹介する。(文・寺島武志)

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DVD化もなし…。ドラマ枠も消滅の“幻の駄作ドラマ”

『八神くんの家庭の事情』

夏木マリ
夏木マリGetty Images

主演:国分太一
放送期間:1994年10月20日~1995年2月16日
放送時間:木曜20:00~20:54
放送局:テレビ朝日系(朝日放送制作)
原作:楠桂
脚本:桃井章、今井詔二、小林政広
最高視聴率:非公表
他キャスト:夏木マリ、持田真樹、マイケル富岡、山本淳一、円城寺あや、角野卓造、吉沢瞳

【作品内容】

主人公の八神裕司(国分太一)は男子校に通うごく普通の高校生だが、一つだけ普通ではない家庭の事情があった。

それは母親の野美(夏木マリ)が異常に若く見え、自分と同年代の美少女にしか見えないということ。思春期を迎え、母親を女性として意識してしまう自身のマザコンぶりに悩む裕司と、野美に恋する裕司の担任教師・四日市明(マイケル富岡)、裕司に恋する五十里真幸(持田真樹)などがドタバタ劇を繰り広げる。

【注目ポイント】

まず、キャラクター設定の根幹をなす“異常に若く見える母親”役が、当時すでに40歳となっていた夏木マリである不自然さが際立ち、さらには原作マンガにはない設定やストーリーに、原作ファンのみならず、原作者の楠桂も激怒し、「自分の作品はドラマのストーリーとは関係ない」と声明を出す事態に発展。

テロップの「原作」の表記が「原案」と改められる異例の展開を見せる。

ジャニタレ主演ドラマにも関わらず視聴率は低迷し、その数字は未だに非公表。放送回数も1話減らされるというオチまで付いた。

放送終了後、本作は再放送もソフト化もされず、“幻の駄作ドラマ”となり、同局のこのドラマ枠も1996年秋に廃止される。

この事態が起きたのはテレビ局側が、原作マンガのネームバリューを利用するという安易な考えによって引き起こされたもので、そのせいで原作者が被害を受けるという最悪のケースといえるだろう。

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