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視聴者にそっぽ向かれた…期待外れのワースト冬ドラマ(2)NHKに潰された…華麗な復活のはずが低迷の要因は?

text by 寺島武志

今や配信で様々な作品が気軽に観られる時代の中、テレビも負けじと良作を生み出そうと必死だ。しかし残念ながら視聴者の期待に添えずに不評に終わる作品も存在する。今回は2024年1月から3月にかけて放送された冬ドラマの中でも最もつまらなかった民放ドラマを5本セレクト。不評だった理由も徹底解明する。(文・寺島武志)

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かつての人気シリーズの華麗な復活の筈が…。

『大奥』

小芝風花【Getty Images】
小芝風花Getty Images

放送期間:2024年1月18日~3月28日
放送時間:木22:00~23:00
放送局:フジテレビ系
原作:岩下慶子
脚本:大北はるか
キャスト:小芝風花、亀梨和也、西野七瀬、森川葵、宮舘涼太、高橋克典、陣内孝則、栗山千明、安田顕

【作品内容】

時は江戸中期、景気は悪化の一途をたどり、日本国民は質素、倹約、勤労の日々を強いられていた。そんな中、倫子(小芝風花)は第10代将軍・徳川家治(亀梨和也)との政略結婚を強いられ、京から江戸城本丸の裏にある大奥へ渡る。

そこは、1000人近くにも及ぶ将軍に仕える女性たちの愛憎が渦巻く女の園であり、倫子の前にさまざまな試練が立ちふさがる…。

【注目ポイント】

本作は、大奥という女の園を舞台に、華やかで絢爛な外見の裏での登場人物たちの複雑な感情と人間模様が描かれる。

2003年から2019年の長きにわたりフジテレビが東映と共同で制作してきた『大奥シリーズ』。『大奥 最終章』(2019)でシリーズは一度完結したものの、5年の時を経た2024年、「令和版」として新たにスタートしたのが本作だ。

フジの人気シリーズの復活と、主演を務めるのがいまをときめく小芝風花ということもあって、放送前の世間の注目度は高かった印象だが、視聴率は初回の6.7%から第2話で4.7%までダウン。その後も多少の浮き沈みはあれど、初回を上回るには至らなかった。

伸び悩んだ要因としては、2023年にNHK総合で放送されたドラマ『大奥』の存在が大きいだろう。

NHK版『大奥』はよしながふみの漫画作品を原作としており、疫病によって男子の人口が激減したことによって男女の立場が逆転するという、フジ版とはテイストが全く違う作品となった。荒唐無稽なファンタジー時代劇に見える反面、大まかな歴史の流れは史実に則り、登場人物の複雑な感情面においても、時代考証の面でも高く評価された。

一方フジ版は、時代劇に慣れていない視聴層でもとっつきやすくするためか、登場人物の立ち振る舞いや言葉遣いが現代寄りになっていた。時代考証が甘く、物語ありきで史実を改変したシーン展開が目立った。また、各話のストーリー展開が同じパターンの繰り返しだという声も多い。

これらの面からリアリズムに欠けると視聴者から受け取られた可能性は高い。フィクションに振り切った内容だとしても、話として面白ければ評価はついてきたはずだが、惜しむらくはその水準を満たしていないということだろう。

NHK版が直近まで放送していたことにより、視聴者からしてみればかつてのフジ版『大奥』シリーズの栄華よりもNHK版の方が記憶に新しい。その意味では放送時期のタイミングも悪く不運な作品だったとも言える。

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