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満足度高すぎてロス発症…最高に面白かったベスト冬ドラマ(3)昭和の”老害”が…社会現象の話題を生んだのは?

text by 寺島武志

季節の変わり目となり2024年1月期のドラマが続々と終焉を迎えている。配信で様々な作品が気軽に観られる時代の中、テレビも負けじと良作を生み出している。 今回は、1月から3月にかけて放送された冬ドラマ作品の中でも最も好評だった作品を5本セレクト。作品の内容を振り返りながら、高評価に繋がった要因を解説する。(文・寺島武志)

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ミュージカルシーンが見どころ
脚本・クドカン“昭和から来た異端児”

『不適切にもほどがある!』

阿部サダヲ
阿部サダヲGetty Images

放送期間:2024年1月26日~3月29日
放送時間:金曜22:00~22:54
放送局:TBS系
脚本:宮藤官九郎
キャスト:阿部サダヲ、仲里依紗、磯村勇斗、河合優実、吉田羊、坂元愛登、三宅弘城、袴田吉彦、中島歩、山本耕史、古田新太

【作品内容】

中学校の体育教師で、野球部のスパルタ顧問でもある主人公の小川市郎(阿部サダヲ)が、日ごろ使っているバスに乗車したところ、市郎が生きる昭和61年から令和6年にタイムスリップしてしまう。昭和の常識しか知らない市郎は、令和の常識についていけず、数々の“不適切”行動によって、周囲を混乱に巻き込んでいく。

【注目ポイント】

おそらくは、当クールの連続テレビドラマで最も賛否が分かれた作品だろう。当時の社会情勢を詳細に描くため、下品なセリフや喫煙シーンも頻出。その度に注釈テロップが表示され、それすらストーリーに組み込んでいる節もある。また、コンプライアンスに縛られた令和の息苦しさを歌に乗せて踊るミュージカルシーンも、本作を彩っている。

昭和当時の小ネタも盛りだくさんで、特にマッチこと近藤真彦に憧れるムッチ先輩(磯村勇斗)が、市郎の一人娘の純子(河合優実)をホテルに連れ込みながら、いざその時となると、下半身が元気にならず、「俺の愚か者がギンギラギンにならない!」と、マッチの代表曲をもじって嘆くシーンには、腹を抱えて笑った昭和男も多いだろう。

序盤から中盤は、昭和のいい加減なおおらかさと令和のコンプライアンスの多さと窮屈さを比較し、笑いに転換するだけの物語だったが、市郎は純子が1995年の阪神・淡路大震災で亡くなる運命であることを知ってしまったことで、物語は大きく転換する。

運命から逃れられないことを悟った市郎は、その時を幸せに生きることに意味を見出し、令和の常識に悪戦苦闘しながらも、“昭和から来た異端者”から、時代を超え「本当に大事なもの」を令和の人々に訴えていく、人生訓にも似たテーマを含んだストーリーとなっていく。

脚本を担当したクドカンこと宮藤官九郎は、現実社会では“老害扱い”されつつある昭和45年生まれのバブル世代。おそらくは、彼の人生の中で見聞きしてきた全てを、この作品に投影しているのではないだろうか。

さらには、クドカンの人望と才能を証明するかのように、驚きのゲスト出演者が本人役で登場しているのも本作の見どころ。特に小泉今日子が出演した第8話放送終了後には、SNSが沸きに沸いた。

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