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宮崎駿ブチギレ…海外で改悪、酷評されたジブリ映画(2)「このクソ映画をカットしろ」極悪Pとの戦いの結果は?

text by 寺島武志

宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』が世界で賞賛を受けている。今なお世界中で多くの人に愛されるスタジオジブリ作品。しかし、中には酷評を喰らった作品や、内容そのものを大幅に改変されてしまった作品も存在する。今回は、海外で不遇の扱いを受けてしまったジブリ映画を5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)

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ヒロイン“サン”が主役!?
悪名ハリウッド大物プロデューサーとの戦い

『もののけ姫』(1997)

© 1997 Studio Ghibli・ND
© 1997 Studio GhibliND

上映時間:133分
監督・原作・脚本:宮崎駿
プロデューサー:鈴木敏夫
洋題:『The Princess Mononoke』

【作品内容】

室町時代の日本。山里に住む青年アシタカは、人間に対する怒りと憎しみでタタリ神と化した猪神にいずれ死に至る呪いをかけられてしまう。

呪いを解く術を求めて西方に旅に出たアシタカは、やがてエボシ御前がおさめるタタラ場にたどり着き、エボシ御前や、エボシら人間と対立する山犬に育てられた人間の娘サンと出会う。

自然を破壊する人間と、それに争う自然の生き物たちとの戦いに、アシタカも巻き込まれていく…。

【注目ポイント】

本作の不幸な運命は、本作の米国配給担当プロデューサーがハーヴェイ・ワインスタインだったことに尽きるだろう。この名前にピンと来る映画ファンは多いだろう。

ハリウッドの大物プロデューサーとしての権力をバックに女性たちを食い物にし、数々のセクハラや性暴力などで禁錮23年の刑に処され服役している問題人物。彼の出現によって、アリッサ・ミラノを中心とした「#Me Too運動」は、ハリウッドのみならず、世界中の女性が性被害を告発するまでに広がった。

ワインスタインは配給権を獲得した作品を強引にカットしまくることでも悪名高かった。本作も、日本公開作からの編集を制限するという契約だったにも関わらず、ワインスタインは、そんな約束事など無視し、スタジオジブリの海外事業部に所属するスティーブン・アルパートに45分をカットするよう要求。

アルパートが「宮崎監督は納得しない」と反論すると、ワインスタインは怒り狂い、「お前がこのクソ映画をカットさせないなら、この業界で二度と働けなくしてやる!」と脅したそうだが、アルパートとスタジオジブリはこの脅しに屈せず、『もののけ姫』はカットされることなく米国公開されるに至った。

しかし、米国版のポスターはオリジナルの世界観からはかけ離れた「the fate of the world rests on the courage of one warrior(世界の運命は一人の戦士の勇気にかかっている)”」というキャッチフレーズと共に、本作のヒロインのサンが、なぜかコインとなって描かれている奇妙なもので、不興を買っている。

これらのエピソードを伝え聞いたプロデューサーの鈴木敏夫は、ワインスタインに日本刀の模造刀を贈ったという。何やら物騒な話だが、その意味は「お前を斬ってやろうか?」という脅しか、作品をカットしまくる彼へのシャレを利かせた嫌味か…真意は闇の中だ。

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